研究課題/領域番号 |
23K06184
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
稲橋 佑起 北里大学, 感染制御科学府, 准教授 (70645522)
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研究分担者 |
廣瀬 友靖 北里大学, 感染制御科学府, 教授 (00370156)
松井 秀仁 北里大学, 大村智記念研究所, 講師 (80503797)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ルミナミシン / C. difficile / 放線菌 / 生合成 |
研究実績の概要 |
ルミナミシン生産菌Streptomyces sp. OMR-59のゲノムシークエンスよりルミナミシン生合成遺伝子クラスターを同定し、そこに含まれるP450やエステラーゼなどの修飾酵素の遺伝子に着目し、それら欠損株の代謝産物解析を行った。昨年度までにLumP3, LumP4, LumI, LumMおよびLumR/Sの遺伝子欠損株を作製し、lumP4欠損株より生合成中間体と考えられる化合物を取得している。今年度はメチル基転移酵素LumM2, LumM4、チオエステラーゼLumVの遺伝子をそれぞれ欠損させ、欠損株の代謝産物解析をおこなった結果、lumM2, LumM4欠損株ではルミナミシンの生産が消失したため、これら遺伝子は生合成に必須であることが明らかになった。また、lumV欠損株ではルミナミシンの生産量の減少がみられた。ルミナミシンのジアルキル無水マレイン酸部位の生合成に関与すると考えられる遺伝子lumR/Sを欠損させた株より、各種カラムクロマトグラフィーにより代謝産物の精製を行い、ルミナミシン生合成中間体を取得した。取得した生合成中間体についてはNMRなどの機器分析によりその構造を決定した。取得した生合成中間体と無水マレイン酸類縁体、組換えAMP-結合タンパク質、組換えエステラーゼをin vitroにて反応させ、反応物をLC/MSで解析した結果、ノーザンパートと無水マレイン酸類縁体が結合した化合物に相当する分子量のイオンピークが検出された。今後は他の欠損株からも生合成中間体の取得を行い、生合成酵素とin vitro反応を行い、その生合成経路を証明する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ルミナミシン生合成遺伝子欠損株の作製や遺伝子欠損株からの生合成中間体の取得、並びに生合成酵素のリコンビナントタンパク質の取得を試みている。複数の遺伝子を対象としているため、どの遺伝子も進捗しているものの、上記のステップのうちいずれかの段階で時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
ルミナミシン生合成遺伝子欠損株の作製や遺伝子欠損株からの生合成中間体の取得、並びに生合成酵素のリコンビナントタンパク質の取得を行う。欠損株に単離した生合成中間体を供給することで、ルミナミシンへの変換を確認するとともに、in vitro反応にて生合成酵素の機能を証明する。また、生合成遺伝子改変により10員環ラクトン部位の類縁体を作製し、有機合成により作製した無水マレイン酸部位の類縁体と結合させることで、非天然型ルミナミシン誘導体合成を試みる。得られた生合成中間体や誘導体のC. difficileに対する抗菌活性を測定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
遺伝子欠損株の作製に時間を要し、進みに遅れが出ている。 次年度以降も遺伝子欠損株の作製を行うとともに、生産培養や、カラムクロマトグラフィー、HPLCなどを利用した代謝産物の取得、化合物の構造解析を試みるため、これらの実験に研究費をあてる。
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