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2023 年度 実施状況報告書

COVID-19治療薬を目指した薬用植物エンドファイト培養エキス中の抗SARS-CoV-2活性物質

研究課題

研究課題/領域番号 23K06189
研究機関福山大学

研究代表者

前原 昭次  福山大学, 薬学部, 准教授 (40368783)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードSARS-CoV-2 / エンドファイト / 薬用植物 / COVID-19 / ヨモギ
研究実績の概要

【具体的内容】
これまでのウイルスに対する増殖抑制試験で効果のあったヨモギについて、薬用植物を採集した。採集した植物断片の表面滅菌後、寒天培地上で成育したコロニーからエンドファイトを分離し、得られた全てのエンドファイトのDNA抽出を行い、ITS領域の塩基配列をもとにデータベース検索の結果をもとに同定を行った。
得られたエンドファイトを用いて、液体培地中、同一条件下で培養を行い、有機溶媒を用いて抽出を行った。これらを減圧下濃縮したものを培養エキスとして、それぞれの質量を計量し、活性試験用のサンプルを作成する。 各エキスについて国立感染症研究所においてウイルス増殖試験を行った。また、In vitroにおける抗SARS-CoV-2活性試験として、SARS-CoV-2由来3CLプロテアーゼの阻害活性を測定し、3CLプロテアーゼ阻害活性をもつエンドファイト培養エキスを特定した。特定したエンドファイトエキスの成分を分離し、各分画における3CLプロテアーゼ阻害活性を測定したところ、活性本体と考えられる成分の分離に成功した。
【意義とその重要性】
本研究のこれまでの成果は、研究の目的である”エンドファイトを利用したSARS-CoV-2の増殖抑制物質の発見”に寄与するものであり、医薬品シーズ探索法のひとつとしてのエンドファイト利用の門戸を開く研究結果である。また、分画成分の活性測定により活性本体の特定に成功したことは、今後のヨモギエンドファイト培養エキス中の抗SARS-CoV-2活性物質の同定(特定)に繋がる成果である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでのウイルスに対する増殖抑制試験で効果のあったヨモギについて、薬用植物を採集した。採集した植物断片の表面滅菌後、寒天培地上で成育したコロニーからエンドファイトを分離し、得られた全てのエンドファイトのDNA抽出を行い、ITS領域の塩基配列をもとにデータベース検索の結果をもとに同定を行った。
得られたエンドファイトを用いて、液体培地中、同一条件下で培養を行い、有機溶媒を用いて抽出を行った。これらを減圧下濃縮したものを培養エキスとして、それぞれの質量を計量し、活性試験用のサンプルを作成する。 各エキスについて国立感染症研究所においてウイルス増殖試験を行った。また、In vitroにおける抗SARS-CoV-2活性試験として、SARS-CoV-2由来3CLプロテアーゼの阻害活性を測定し、3CLプロテアーゼ阻害活性をもつエンドファイト培養エキスを特定した。ここまでの内容について論文を執筆し学術雑誌において掲載された。(Sep. 2023, Journal of Fungi, 905., Maehara, S. et al. Anti-SARS-CoV-2 Agents in Artemisia Endophytic Fungi and Their Abundance in Artemisia vulgaris Tissue. DOI: 10.3390/jof9090905)
上記で特定したエンドファイトエキスの成分を分離し、各分画における3CLプロテアーゼ阻害活性を測定したところ、活性本体と考えられる成分の分離に成功した。
以上のことから本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

「ヨモギを用いた研究について」
・ヨモギエンドファイトの培養エキスの分画のうち、活性本体となる成分の化学構造の特定と本化合物のSARS-CoV-2のウイルス増殖抑制試験を行う。
「他の植物(ニチニチソウ)を用いた研究について」
・ニチニチソウからエンドファイトの分離し、得られたエンドファイトについて同定を行う。
・ニチニチソウエンドファイトの培養エキスを作成し、成分の分離・分析を行う。また、ニチニチソウ以外の植物についても選定しエンドファイトの分離の準備を行う。

次年度使用額が生じた理由

国内はもちろん、円安の影響により海外の物品価格が上昇したことで購入数が限られたため当初の予定の使用額より少ない事象が発生した。繰り越しすることで値上げに対応して購入することが出来る。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Anti-SARS-CoV-2 Agents in Artemisia Endophytic Fungi and Their Abundance in Artemisia?vulgaris Tissue2023

    • 著者名/発表者名
      Maehara Shoji、Nakajima Shogo、Watashi Koichi、Agusta Andria、Kikuchi Misato、Hata Toshiyuki、Takayama Kento
    • 雑誌名

      Journal of Fungi

      巻: 9 ページ: 905~905

    • DOI

      10.3390/jof9090905

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Artemisia vulgaris由来エンドファイト培養エキスのSARS-CoV-2特異的3CLプロテアーゼ阻害活性2024

    • 著者名/発表者名
      前原 昭次、守屋 建吾、榊原 実里、湯川 菜々美、秦 季之
    • 学会等名
      日本薬学会第144年会(横浜)
  • [学会発表] Artemisia vulgaris由来エンドファイトの産生するSARS-CoV-2特異的3CLプロテアーゼ阻害物質に関する研究2024

    • 著者名/発表者名
      前原 昭次、榊原 実里、守屋 建吾、湯川 菜々美、秦 季之
    • 学会等名
      日本薬学会第144年会(横浜)
  • [学会発表] メタバーコーディング解析から導いたヨモギエンドファイト分離法の改良2024

    • 著者名/発表者名
      前原 昭次、湯川 菜々美、守屋 建吾、榊原 実里、秦 季之
    • 学会等名
      日本薬学会第144年会(横浜)
  • [学会発表] Artemisia vulgaris エンドファイト糸状菌の抗 SARS-CoV-2 活性と植物組織内での存在比率2023

    • 著者名/発表者名
      前原 昭次、渡士 幸一、中嶋 章悟、秦 季之、菊池 美里、宮原 誉弥、髙山 健人(福山大薬, 国立感染研)
    • 学会等名
      日本生薬学会第69回年会(仙台)
  • [学会発表] Artemisia vulgaris エンドファイト糸状菌の抗 SARS-CoV-2 活性と植物組織内での存在比率2023

    • 著者名/発表者名
      前原 昭次、渡士 幸一、中嶋 章悟、秦 季之、菊池 美里、宮原 誉弥、髙山 健人(福山大薬, 国立感染研)
    • 学会等名
      植物微生物研究会 第32回研究交流会(大阪)
  • [学会発表] Genetic Resources and Innovative Bioresources Technology for Future Sustainable Use of Biodiversity2023

    • 著者名/発表者名
      Shoji Maehara
    • 学会等名
      【JASTIP】Workshop on Biodiversity:
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] rtemisia vulgaris エンドファイト糸状菌の抗SARS-CoV-2活性と植物組織内での存在比率2023

    • 著者名/発表者名
      前原 昭次、渡士 幸一、中嶋 章悟、秦 季之、菊池 美里、宮原 誉弥、髙山 健人(福山大薬, 国立感染研)
    • 学会等名
      超異分野学会 香川フォーラム(高松市)

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公開日: 2024-12-25  

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