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2023 年度 実施状況報告書

統合失調症患者の効果的な社会参加を促すための認知機能評価の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K06243
研究機関名城大学

研究代表者

亀井 浩行  名城大学, 薬学部, 教授 (60345593)

研究分担者 半谷 眞七子  名城大学, 薬学部, 准教授 (40298568)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード統合失調症 / 認知機能障害 / 精神運動機能試験 / 精神障害者社会生活評価尺度
研究実績の概要

統合失調症(Sc)患者における認知機能障害は、就労などの社会・生活機能と深く関係している。実際、Sc患者の約8割が非雇用状態であることから、就労につながる認知機能の評価が重視されている。しかし、既存の認知機能評価法である日本語版統合失調症認知機能簡易評価尺度(BACS-J)では、評価に長時間を要し、患者への負担が大きく、特別なトレーニングを受けた評価者に限定されるなどの問題点が存在する。これらの問題点を解消するためには、客観的かつ簡便な評価法の開発が喫緊の課題である。本研究では、Sc患者を対象に新たな評価法である精神運動機能試験(PFT)と既存の神経心理学的検査(NT)との相関性、および就労などの社会・生活機能に関連する精神障害者社会生活評価尺度(LASMI)との相関性についても検討を行った。
Sc患者22名を対象とし、NT(JART、TMT、WFT)およびタブレット端末版のPFT(CFF、CRT、CTT-TT、CTT-PAT、RVIP)による認知機能評価、LASMIによる調査を行った。その結果、患者群のPFTにおける認知機能は健常群と比較して有意に低下し、NTのTMT所要時間とPFTの5項目との間にそれぞれ相関性が認められた(r=-0.515,0.640,0.495,0.572,-0.567)。また、PFTのPATおよびRVIPとLASMIの「獲得スキル」(r=0.627,-0.515)と「一定スキル」(r=0.468,-0.699)との間にそれぞれ相関性が認められた。
PFTにより評価された認知機能障害は、社会・生活機能と密接に関連していることが明らかになったことから、PFTはSc患者の実臨床における認知機能を評価する上で、その有用性が高いことが示唆された。今後、対象症例数を増やし、薬剤師による認知機能改善を考慮した薬物療法の提案につなげたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本研究を実施するに当たり、本研究計画とその実施に関連して、共同研究医療施設を含めた倫理審査委員会の承認を得たこと、統合失調症患者における認知機能障害の評価(精神運動試験)に用いるタブレット端末を購入し、ソフト開発・構築が順調に進んだこと、共同研究医療施設との研究実施体制が整っていたことなどから、既に統合失調症患者22名(50名の予定)を対象に認知機能障害関連の評価が円滑に行うことができた。

今後の研究の推進方策

2024年度は、統合失調症患者の症例数をさらに増やし、当初の目標となる50症例までとし、認知機能障害(精神運動試験)の解析を行う。国内外での学会発表(一般演題、シンポジウム)及び海外の学術雑誌への論文投稿等を実施し、研究成果を国内外に発信していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

2023年1月に本研究の解析に必要となるPCの購入を予定していたが、既存のPCで代替えが可能となった。このため、繰り越された額は次年度の国内の学会発表の旅費に計上する計画である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] アルコール使用障害患者における精神運動機能試験を用いた新たな認知機能評価法の開発2023

    • 著者名/発表者名
      清水侑真、鈴木香帆、宮浦淳一、森下夏帆、水島久美子、内田あおい、奥田正英、水谷浩明、半谷眞七子、亀井浩行
    • 学会等名
      日本薬学会第144年会

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公開日: 2024-12-25  

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