研究課題/領域番号 |
23K06256
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
阿部 真治 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 教授 (00403717)
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研究分担者 |
西岡 安彦 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (70274199)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 抗体療法 / ADCC |
研究実績の概要 |
悪性胸膜中皮腫はアスベストにより誘発される難治性の胸部悪性腫瘍であり、治療法として外科的切除、化学療法、放射線療法などが行われているが、治療抵抗性であることが多いため、抗体療法などの新規治療法開発が求められている。これまでに我々の研究グループはポドプラニンを標的とする特異的抗体を開発し、その抗体が ADCC 活性の誘導を介して、悪性胸膜中皮腫細胞株に対して強い抗腫瘍効果を発現することを明らかにしている(J Immunol. 190:6239-6249, 2013; Cancer Sci. 107:1198-1205, 2016.)。一般的に ADCC 活性を誘導する抗体医薬は、抗原認識能と最終的な細胞傷害活性について評価されることがほとんどであり、抗体が抗原を認識してから細胞傷害を誘導するまでの詳細なメカニズムはいまだ明らかとなっていない。本研究では、各種抗ポドプラニン抗体の Fc 受容体結合能と、それに続く NK 細胞活性化メカニズムの詳細について明らかにすることを目的としている。 2023年度は我々の研究グループが保有する抗ポドプラニン抗体を用い、Fc 受容体への抗体医薬の結合能についてELISA法により検討を行った。その結果、一部の抗体においてコアフコース除去による結合能の上昇が認められた。また、抗体医薬による NK 細胞活性化メカニズムを明らかにするため、各種抗ポドプラニン抗体の処置による NK 細胞表面マーカーへの影響についてフローサイトメトリーを用いて検討を行った。その結果、Fc 受容体以降のNK細胞活性化についても細胞表面マーカーを用いて評価を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験計画では、各種抗体の Fc 受容体結合能と、それに続く NK 細胞活性化メカニズムを明らかにするため、各種抗ポドプラニン抗体を用い、ELISA 法により各種抗体の Fc 受容体結合能を評価するとともに、NK 細胞表面マーカーへの影響をフローサイトメトリーにより評価する予定であった。 2023年度は、それぞれについて条件設定も順調に進み、ほぼ予定通りに実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
すでに各種抗ポドプラニン抗体の Fc 受容体結合能、およびNK 細胞表面マーカーへの影響について評価法は条件設定も順調に進んでいる。したがって、2024年度は、Fc 受容体結合を介したNK細胞活性化メカニズムの詳細な検討を進めるとともに、in vitro および in vivo における抗ポドプラニン抗体の抗腫瘍効果についても検討を行う予定である。In vitroおよびin vivoの基本的な実験系はすでに我々の研究グループで確立されたものであり、着実に研究の進展を図っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)実験計画ではELISA 法により各種抗ポドプラニン抗体の Fc 受容体結合能を評価するとともに、NK 細胞活性化への影響をフローサイトメトリーにより評価する予定であった。全体としてはおおむね順調に進んだが、NK 細胞活性化についての検討が一部手間取ったため、次年度使用額が生じた。 (使用計画)翌年度分として請求した研究費と合わせて、Fc 受容体結合を介したNK細胞活性化メカニズムの詳細な検討、およびin vitro および in vivo における抗ポドプラニン抗体の抗腫瘍効果の検討に使用する予定である。
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