研究課題/領域番号 |
23K06259
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研究機関 | 山陽小野田市立山口東京理科大学 |
研究代表者 |
牛島 健太郎 山陽小野田市立山口東京理科大学, 薬学部, 教授 (70448843)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 変形性膝関節症 / 時計遺伝子 / microRNA / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
健常者由来軟骨細胞 (N細胞) と OA 患者由来軟骨細胞 (OA細胞) を、ナノファイバーを用いて 3 次元培養した。各細胞から small RNAs を抽出し、miRNA-シーケンス解析にて miRNAs 発現量を網羅的に測定した。その結果、OA 細胞において N 細胞よりも発現量が高く、かつ qPCRにて定量可能であった miRNAs は 15 種類であった。これら 15 種類の miRNAs と BMAL1 との関係性を明らかにするため、N細胞に対して siRNA を処置して BMAL1 ノックダウン細胞を作製した。前述と同様に細胞から small RNAs を抽出し、前述のバイオマーカー候補 15 種類の miRNAs 発現量を qPCR にて測定した。その結果、BMAL1 ノックダウンにより 4 種類の miRNAs の発現量が増加することが明らかとなった。これら miRNAs のうち、3 種類は直接的または間接的に骨形成に必須の転写因子R の発現に作用することが報告されている。また、残りの 1 種類は概日リズム経路との関連が示されている。さらに、OA細胞において N細胞よりも細胞内発現量が少ない miRNAs も複数種類見出している。OA細胞で発現量が低い miRNAs のうち、BMAL1 ノックダウンによっても発現が低下する miRNAs は軟骨細胞活性を反映する可能性がある。 BMAL1 ノックダウンによって発現量が増加または減少 miRNAs について、細胞内発現量の変化を細胞外から観察するために、培養液中から細胞外小胞を分離して small RNAs を抽出し、qPCR にて miRNAs 発現量を測定した。この測定において、正確性が高く定量可能であった miRNAs は、OA 病態を反映するバイオマーカーになると期待される。 以上より、本研究で抽出した miRNAs を組み合わせることで、作業仮説である体内時計障害と軟骨細胞活性の両方を評価できるものと期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに、おおむね順調に研究が進行している。
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今後の研究の推進方策 |
2024 年度には、BMAL1 発現量変化に反応する miRNAs の細胞内機能解析の検討を行う予定である。具体的には、BMAL1 ノックダウン軟骨細胞に対して、本研究で注目する miRNA に対する inhibitor または mimic を添加し、軟骨細胞機能が改善することを明らかにする。具体的には、細胞分化・増殖活性に加えて、3 次元培養時におけるスフェロイド形成能、2 型コラーゲン産生能について評価する。さらに、OA患者の血清試料を用いたバイオマーカー探索研究も開始する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じているが、2023年度の執行率は98%であり概ね当初計画通りに執行できている。次年度使用額は、2024年度分と合わせて各種実験に必要な消耗品(試薬や器具類)の購入に充てる。
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