研究実績の概要 |
本研究では、各種胆汁酸生合成異常症の疾患マーカーとなる各種異常胆汁酸、胆汁アルコール並びにこれらの各種抱合体のLC-MS/MS法による異常胆汁酸及び胆汁アルコールの一斉分析法の開発を行い、健常人体液中の動態を解明することを目的とする。2023年度は、LC-MS/MS法開発に必要な標準品として、各種グルクロン酸抱合体の合成を行った。すなわち、Zellweger症候群及び脳腱性黄色腫症(CTX)の疾患マーカーの一つとして知られているC27-高級胆汁酸(3α,7α,12α-tetrahydroxy-5β-cholestanoic acid, THCA)及び胆汁アルコール(3α,7α,12α,25-tetrahydroxy-5β-cholestane, THC)のグルクロン酸抱合体の合成を行った。 ・THCAのグルクロン酸抱合体(THCA-Glu)の合成 THCAを原料として、Acetobromo-α-D-glucopyranuronic acid methyl esterを利用するKoenigs-Knorr反応によりグルクロニド体とした後、各種クロマトグラフィーにより精製を行い、THCAのグルクロン酸抱合体(THCA-Glu)標品を得ることができた。さらに、本胆汁酸の側鎖カルボキシ基の各種アミノ酸抱合体(二重抱合体)の合成も併せて行った。今回合成したTHCA-Gluを原料に、またアミノ酸としてグリシン並びにタウリンを利用して、クロルギ酸エチル/ トリエチルアミンを用いる混合酸無水物法により、グリシン並びにタウリン抱合体標品(G- THCA-Glu並びにT- THCA-Glu)の合成を完了した。 ・THCのグルクロン酸抱合体(THC-Glu)の合成 THC-Gluの合成には、前述のTHCA-Gluの合成と同様の方法を利用して、THCを原料としてTHC-Glu標品の合成を完了した。
|