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2023 年度 実施状況報告書

ドラッグリポジショニングによる小腸粘膜恒常性を標的としたNASH治療薬の探索

研究課題

研究課題/領域番号 23K06294
研究機関神戸薬科大学

研究代表者

河内 正二  神戸薬科大学, 薬学部, 准教授 (30549308)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
キーワード非アルコール性脂肪肝炎(NASH) / 腸肝連関 / 医薬品有害事象データベース / ドラッグリポジショニング
研究実績の概要

非アルコール性脂肪肝炎(NASH)には、生活習慣病を基盤に発症するものと、薬剤が原因となるものがある。生活習慣病を基盤に発症するNASHでは、腸内細菌叢の変化や腸管由来成分が関わる腸肝連関の病態進展への関与が報告されているが、薬剤性NASHの病態進展機序は不明である。そのためNASHに有効な治療薬は少ないのが現状である。
本研究の目的は、NASHにおいて小腸粘膜恒常性が破綻する機序を明らかにし、小腸粘膜恒常性の維持という新たな治療標的に対して医薬品有害事象データベース解析を用いたドラッグリポジショニング(DR)により、NASHに効果を有する既存薬を見出すことである。
今年度は、NASHを誘発するアミオダロン(AMD)を用いてNASHモデルマウスを作成し、腸内細菌叢を解析した。AMD群では、Firmicutes門が増加し、Bacteroidetes門が有意に減少しており、生活習慣を基盤としたNASHと同じような腸内細菌叢の組成変化が生じている可能性が示唆された。
医薬品有害事象データベースにおける不均衡分析の解析手法(Reporting Odds Ratio; ROR)は、有害事象シグナルを検出する手法である。この手法で得られた逆のシグナルは、その医薬品と有害事象との関連が低いと考えられ、既存医薬品の新たな薬効のシグナル(DRシグナル)の指標として利用した。医薬品有害事象データベース(PMDA(JADER)2004-2023年、823,662件、米国FDA(FAERS)1997-2023年、17,624,844件)を使用して、NASHのシグナルが検出された特定の薬剤服用症例において、その併用薬剤のPORを算出することでNASHの発症リスクを低下させうる薬剤を探索した。その結果、NASHの発症を低下させる可能性のある医薬品26品目が見つかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画していたアミオダロン誘発NASHモデルマウスでの腸内細菌叢の変化を明らかにし、小腸粘膜恒常性が破綻する機序の一端を明らかにした(研究目標①)。NASHの発症リスクを低下させうる薬剤(NASHに対する治療薬の候補医薬品)の探索に関しても一部検討を終了した(研究目標②)。

今後の研究の推進方策

NASHに対する治療薬の候補となる可能性が示唆された医薬品について、文献情報、薬価、安全性の観点から基礎研究での有効性評価を行う優先順位を検討する。その後、培養細胞を用いたIn vitro評価系を構築する。具体的には、HepG2細胞(ヒト肝癌由来細胞株)を用いた細胞内脂肪蓄積を評価する。

次年度使用額が生じた理由

モデルマウスを使用した研究が当初の予定金額よりも少ない費用で実施できた。また、データベースの解析では基礎研究のような研究物品の購入が生じない。以上のことから使用額が予定よりも少なくなった。研究物品の購入や論文投稿費用などに使用する予定である。

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公開日: 2024-12-25  

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