研究課題/領域番号 |
23K06327
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
永岡 唯宏 藤田医科大学, 医科学研究センター, 助教 (70634864)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 筋衛星細胞 / 平面内細胞極性因子 / Mカドヘリン |
研究実績の概要 |
骨格筋の幹細胞である衛星細胞は、骨格筋の成長や、傷害後の筋再生の際に、活性化して自己複製、及び筋芽細胞へと分化する。衛星細胞の生理や、自己複製のメカニズムの理解を蓄積することは、加齢性筋肉減少症(サルコペニア)や神経筋疾患の病態理解や治療法の開発に重要であると考えられるが、その詳細な分子メカニズムは不明な点が多い。申請者は、衛星細胞に発現する接着分子Mカドヘリンと平面内細胞極性因子Vangl2が相互作用することを見出した。本研究は、この相互作用が衛星細胞内でどのように制御され、筋再生に対して働くかを調べることを目的としている。 今年度は、Vangl2蛋白質の局在を筋組織で解析するために、Whole mountで筋組織を免疫蛍光染色する方法の確立を目指した。概ね順調に進んだが、染色の再現性や、高バックグラウンドの課題があり次年度も引き続き改善を進める予定である。また、Vangl2とMカドヘリンの筋形成あるいは、筋再生過程に於ける発現変化を筋芽細胞株C2C12及び、カルジオトキシン処理したマウス前脛骨筋組織を用いて解析した。Vangl2の蛋白質発現は、C2C12の筋管分化の進行にしたがって減少した。一方、前脛骨筋の再生過程では、カルジオトキシン傷害直後にはVangl2遺伝子発現が上昇しその後、再生が完了するまで高レベルのまま保たれた。さらに、Vangl2がMカドヘリンに及ぼす生理的影響を解析するために、Vangl2との相互作用ががNやEカドヘリンに及ぼす、エンドサイトーシスの促進がMカドヘリンでも同様に起こるかを調べた。293T細胞の強制発現系、及びC2C12で実験を行ったが、Vangl2によるMカドヘリンのエンドサイトーシスの促進作用は今のところ見られていない。今後も、本研究を通して、筋ジストロフィーなどの骨格筋難病の病態解明や、治療法開発に役立つ知見を得ることを目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Vangl2蛋白質の局在を筋組織で解析するために、Whole mountで筋組織を免疫蛍光染色する方法の確立を目指した。概ね順調に進んだが、染色の再現性や、高バックグラウンドの課題があり次年度も引き続き改善を進める予定である。また、Vangl2とMカドヘリンの筋形成あるいは、筋再生過程に於ける発現変化を筋芽細胞株C2C12及び、カルジオトキシン処理したマウス前脛骨筋組織を用いて解析した。Vangl2の蛋白質発現は、C2C12の筋管分化の進行にしたがって減少した。一方、前脛骨筋の再生過程では、カルジオトキシン傷害直後にはVangl2遺伝子発現が上昇しその後、再生が完了するまで高レベルのまま保たれた。再生過程において、どの細胞種でVangl2の発現が変化しているのかまではわからなかったが、研究計画に記載した実験を行うことができた。さらに、Vangl2がMカドヘリンに及ぼす生理的影響を解析するために、Vangl2との相互作用ががNやEカドヘリンに及ぼす、エンドサイトーシスの促進がMカドヘリンでも同様に起こるかを調べた。293T細胞の強制発現系、及びC2C12で実験を行ったが、Vangl2によるMカドヘリンのエンドサイトーシスの促進作用は今のところ見られていない。現在、別の作用がある可能性も検討しているが、計画していた実験は行うことはできた。
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今後の研究の推進方策 |
Whole mount免疫蛍光染色法を確立させ、Vangl2、Mカドヘリンの局在を調べる。また、カルジオトキシン処理したマウス筋でも同様の染色をして、筋再生過程におけるこれら蛋白質の局在を解析する。Wnt7aを培養筋線維に作用させて経時的にMカドヘリンの局在変化を観察する。これらの解析を行うことによって、MカドヘリンとVangl2の相互作用が衛星細胞の増殖や活性化に及ぼす影響を推定することができると考えられる。また、Vangl2変異マウスの前脛骨筋をカルジオトキシン処理して傷害させる。そして、1日後から、およそ傷害が治癒すると予測される1ヶ月後まで断続的に前脛骨筋を回収し、凍結切片を作製して、筋再生をヘマトキシリンエオシン染色により組織学的に解析する。その際に、筋線維の断面積を測定する。さらに、各回収時の前脛骨筋に含まれる衛星細胞の数を、計測する。これらの解析によって、Vangl2が筋再生に及ぼす影響を明らかにするとともに、Vangl2変異によって、衛星細胞内の蛋白質の局在異常などが見られるかどうかや、衛星細胞の活性化等に影響を与えるかどうかを解析していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬を発注していたが、製造者側で製造工程が変わったため出荷ができないという理由で納品までに時間を要するということが分かり、キャンセルした。そのため、執行ができなかった。これについては、代替品を検討している。
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