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2023 年度 実施状況報告書

制御性T細胞のがん免疫抑制能におけるプロスタグランジンE2の役割と作用機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K06356
研究機関京都大学

研究代表者

Thumkeo Dean  京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (40372594)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード制御性T細胞 / PGE2 / 腫瘍
研究実績の概要

制御性T細胞は免疫抑制に関わる免疫細胞である。これまでの研究により、Treg細胞の細胞表面に存在する特異的な細胞表面分子であるCTLA-4やPD-1などが、他の免疫細胞との相互作用を通じて免疫応答を制御することが示されています。特に、CTLA-4は標的細胞のB7分子と競合して結合し、抗原提示細胞の活性化を阻害します。また、Treg細胞はIL-10やTGF-βなどの免疫抑制サイトカインを分泌し、周囲の免疫応答を抑制することで免疫のバランスを維持します。申請者はこれまで、脂質メディエータープロスタグランジンE2(PGE2)の受容体であるEP2とEP4の阻害剤を用いた薬理学的実験とEP2とEP4ノックアウトマウスを用いた遺伝学的実験により、PGE2はTregのEP2とEP4を作用し、腫瘍浸潤Tregの免疫抑制活性を高めることを見出した(Thumkeo et al., Cell Rep, 2022)。しかし、EP2とEP4の下流の細胞内情報伝達の分子メカニズム、及び、これがin vivoの腫瘍増大に及ぼす影響については、まだ不明な点が多い。本研究では、PGE2-EP2/4 シグナルによるTregの免疫抑制増強作用発見を基盤に、1) PGE2によるTreg活性化の分子作用機序と転写制御メカニズムを、次いで2)免疫チェックポイント阻害剤非感受性がんモデルマウスにおけるTregのPGE2シグナルの病態生理学的意義を解明することを目指し、研究を行った。昨年度は、cAMP経路がPGE2-EP2/EP4の下流でどの程度Tregの免疫抑制活性に関与しているのかにつ いての検討を行い、また、 タモキシフェン誘導型Treg特異的なEP2・ EP4受容体欠損マウス(Foxp3eGFP/Cre-ERT2EP2fl/flEP4fl/fl)にLLC1癌細胞を皮下に担癌し、この免疫チェックポイント阻害剤無効がんモデルにおける腫瘍増殖がどの程度抑制されるのかを検討した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度は、上述したように、cAMP経路がPGE2-EP2/EP4の下流でどの程度Tregの免疫抑制活性に関与しているのかについての検討を行い、また、 タモキシフェン誘導型Treg特異的なEP2・ EP4受容体欠損マウス(Foxp3eGFP/Cre-ERT2EP2fl/flEP4fl/fl)にLLC1癌細胞を皮下に担癌し、この免疫チェックポイント阻害剤無効がんモデルにおける腫瘍増殖がどの程度抑 制されるのかを検討した。現在は LLC1モデルに続き、B16F10モデルにおける効果も検討している。以上のことから、本研究はおおめね順調に進展していると考えている。

今後の研究の推進方策

上記のこれまでの実績で述べたように、制御性T細胞の免疫抑制活性はPGE2-EP/EP4シグナルに依存しているが、現在までさらにcAMPアナログやcAMPシグナルの阻害剤を用いて、その影響をFACS解析等によって検討した。今後はcAMPの下流で活性化することが報告されているCreb,Crem,やNf-kbなどの転写因 子の機能阻害実験を行い、同様にFACS解析でその影響を評価し、 cAMPの下流の詳細をさらに明らかにする。一方で、in vivo実験については、LLC1モデルに加えて、今後はB16F10モデルについても評価を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

本年度行った実験は順調であったため、消耗品等代が当初の予想より低額で抑えることができた。翌年度に繰り越した助成金は主に消耗品及び動物飼育代に使用する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)

  • [国際共同研究] Mahidol U Fac of Medicine Siriraj Hosp(タイ)

    • 国名
      タイ
    • 外国機関名
      Mahidol U Fac of Medicine Siriraj Hosp
  • [雑誌論文] Calcium transients trigger switch-like discharge of prostaglandin E2 in an extracellular signal-regulated kinase-dependent manner2024

    • 著者名/発表者名
      Watabe Tetsuya、Yamahira Shinya、Takakura Kanako、Thumkeo Dean、Narumiya Shuh、Matsuda Michiyuki、Terai Kenta
    • 雑誌名

      eLife

      巻: 12 ページ: RP86727

    • DOI

      10.7554/eLife.86727

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Conditional deficiency of Rho‐associated kinases disrupts endothelial cell junctions and impairs respiratory function in adult mice2024

    • 著者名/発表者名
      Akamine Takahiro、Terabayashi Takeshi、Sasaki Takako、Hayashi Riku、Abe Ichitaro、Hirayama Fumihiro、Nureki Shin‐ichi、Ikawa Masahito、Miyata Haruhiko、Tokunaga Akinori、Kobayashi Takashi、Hanada Katsuhiro、Thumkeo Dean、Narumiya Shuh、Ishizaki Toshimasa
    • 雑誌名

      FEBS Open Bio

      巻: in press ページ: -

    • DOI

      10.1002/2211-5463.13802

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Inhibition of DYRK1B suppresses inflammation in allergic contact dermatitis model and Th1/Th17 immune response2023

    • 著者名/発表者名
      Wongchang Thamrong、Pluangnooch Panwadee、Hongeng Suradej、Wongkajornsilp Adisak、Thumkeo Dean、Soontrapa Kitipong
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 13 ページ: 7058

    • DOI

      10.1038/s41598-023-34211-x

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] マウス肺がんモデルにおける腫瘍免疫微小環境の解明 -PGE2シグナル伝達系の役割を例に-2024

    • 著者名/発表者名
      タムケオ ディーン
    • 学会等名
      金沢大学がん進展制御研究所 共同利用・共同研究拠点研究成果報告会
    • 招待講演
  • [学会発表] がん免疫回避におけるプロスタグランジンE2-EP2/4シグナルの役割解明2023

    • 著者名/発表者名
      Dean Thumkeo, Siwakorn Punyawatthananukool, Shuh Narumiya.
    • 学会等名
      第96回日本生化学会大会シンポジウム
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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