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2023 年度 実施状況報告書

脳卒中後疼痛の発症機序におけるオレキシン受容体シグナルの関与

研究課題

研究課題/領域番号 23K06373
研究機関神戸学院大学

研究代表者

徳山 尚吾  神戸学院大学, 薬学部, 教授 (70225358)

研究分担者 中本 賀寿夫  神戸学院大学, 薬学部, 准教授 (30432636)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード脳卒中後疼痛 / オレキシン / 虚血
研究実績の概要

脳卒中後疼痛(CPSP)は脳卒中後に生じる難治性の後遺症であり、中枢性の神経障害性疼痛の一つとして知られている。現時点においてCPSP の病態機序やそれに対する標準的な薬物治療は未だ確立されていない。これまでに私達は、神経ペプチドの一つであるオレキシンが脳虚血時に低下することや、脳保護作用や疼痛制御に関与することを明らかにしており、CPSPの発症にオレキシンシグナルが重要な役割をしていることを提唱してきた。
本研究においては、CPSP形成時におけるオレキシン神経回路機構を明らかにするために、人工的に神経細胞の活動操作が可能なDREADD(Designer Receptor Exclusively Activated by Designer Drugs)システムを用い、オレキシン神経を 「活性化」 または 「抑制」 したマウスを作製し、疼痛行動を解析する。最終的に、本研究はCPSP病態の発症に視床下部外側野のオレキシンシグナルの機能低下が関与することを明らかにし、オレキシン神経の活性化を標的とした化合物がCPSPの新たな治療戦略となることを目指している。
研究1年目は、オレキシン神経細胞へ特異的にCreリコンビナーゼと緑色蛍光タンパク質(EGFP)を発現するトランスジェニックマウス(C57BL/6-Tg(hOX-EGFP,-cre)1Ahky、RBRC06806)を理研のマウスバンクから購入し、交配させ仔マウスを得た。各マウスの耳介片サンプルからDNAを抽出し、ジェノタイピングを行い、野生型とtransgeneマウスに分類することを目的とした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

hOX-EGFP,-creマウスの系統を安定維持するためには、あと数回の交配を重ね実験に使用するマウスを確保する必要がある。また、アデノ随伴ウイルスベクター(AAV)処置実験に使用可能なマウスの匹数を確保する必要がある。

今後の研究の推進方策

選択的にオレキシン神経へ緑色蛍光タンパクを標識した Orexin-Cre EGFP マウスに対して、デザイナードラッグによってのみ活性化されるデザイナー受容体 hM4Di および hM3Dq をオレキシン酸性領域である視床下部外側野へ発現させるため、その投射先である青斑核、腹側被蓋野、中脳水道周囲灰白質領域や脊髄等へアデノ随伴ウイルスベクター(AAV8-DIO hM4Di-mCherryまたはAAV8-DIO hM3Dq-mCherry) を微量注入し作製する。クロザピン-N-オキシド(CNO)の投与により、領域選択的かつ特異的にオレキシン神経を抑制または興奮させたマウスを作製する。このマウスを用いてCPSPモデルを作製し、疼痛の評価を行う。上記より、オレキシン神経回路が同定された際は、オレキシン神経の投射先の領域へオレキシン受容体アンタゴニストSB331867を局所投与し、オレキシン神経の活性化によって生じるCPSP抑制が拮抗されるかどうか、行動薬理実験を行う。これらの検討により、視床下部外側野からどの脳領域へ投射しているオレキシン神経回路がCPSPの病態形成に関与しているのかを明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

年度末に学会参加の予定があり、その予算額を想定して申請を行ったが、当初予定額に届かなかったため、次年度使用額が生じた。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Nicotine suppresses central post-stroke pain via facilitation of descending noradrenergic neuron through activation of orexinergic neuron2023

    • 著者名/発表者名
      Nakamoto K, Matsuura W and Tokuyama S,
    • 雑誌名

      Eur J Pharmacol

      巻: 943 ページ: 175518

    • DOI

      10.1016/j.ejphar.2023.175518

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 脳卒中後疼痛の病態形成における脊髄グリア細胞由来リポカリン発現誘導の関与2023

    • 著者名/発表者名
      中本賀寿夫、上田篤、橘男、徳山尚吾
    • 学会等名
      第97回日本薬理学会年会

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公開日: 2024-12-25  

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