研究課題
応募者は、がん抑制遺伝子として単離されていたPLAATファミリーの5種類すべての分子 (PLAAT1-5) をグリセロリン脂質代謝酵素として同定し、分子・細胞レベルでの解析を展開してきた。その過程で、PLAAT3がオルガネラのひとつであるペルオキシソームを酵素活性依存的に分解することを見出した。最近、脂肪組織が特異的に縮小する脂肪萎縮症の新規原因遺伝子としてPLAAT3が同定されたが、同分子の欠損がどのように脂肪萎縮症を発症させるかは明らかになっていない。PLAAT3は脂肪組織で高発現しており、脂質代謝との関連が深いペルオキシソームの分解に関わっていることを考慮すると、PLAAT3の欠損による脂肪萎縮症の原因は脂肪組織におけるペルオキシソームの機能異常に由来する可能性がある。本研究の目的は、PLAAT3の欠損が脂肪組織のペルオキシソームにどのような影響を与え、それがどのように脂肪萎縮症と関連しているのかを明らかにすること、とする。
2: おおむね順調に進展している
PLAAT1と3のそれぞれの欠損マウスを解析した。両マウスを高脂肪負荷モデルに供したところ、野生型と比較して両マウス共に肥満に耐性を示した。特に、PLAAT1欠損マウスは野生型マウスで見られる脂肪肝がほとんど観察されなかった。PLAAT1発現細胞を解析したところ、ミトコンドリアが断片化しており、ペルオキシソームの含量は激減していた。PLAAT1によるこの現象には酵素活性が必要であり、不活性型PLAAT1を発現させてもオルガネラに影響は見られなかった。
最近見出した知見を報告できるよう研究を進める。また、予定している研究で着手できていない部分があるので、これについても同様に進める。
次年度に適切に使用予定である。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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