研究課題/領域番号 |
23K06390
|
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
大石 久史 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (30375513)
|
研究分担者 |
齋藤 伸治 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (00281824)
シャウキ ホッサム 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (70829738)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | リサイクリング・エンドソーム / 個体発生 / 胎生致死 |
研究実績の概要 |
細胞内に取り込まれた膜タンパクは、初期エンドソームに取り込まれたのち、「分解」またはリサイクリング・エンドソーム (RE) を経て細胞膜やゴルジ体に輸送され「再利用」される。私たちは、REからの輸送に関わる遺伝子VPS35Lに変異を有する小児の3C症候群(頭蓋-小脳-心症候群)同胞を、世界で初めて報告し、VPS35L欠損細胞はオートファジー機能が低下することを見出した。現在、これらの成果を発展させ、膜タンパクを再利用することの生物学的意義を明らかにすることを目的に実験を行なっている。これまでに、Vps35Lを含む複数の再利用にか関わる遺伝子の欠損マウスを作製し、表現型解析を行っており、これらの遺伝子欠損マウスは、若干の違いはあるものの、総じて胎生の比較的早期に子宮内死亡することを見出した。現在、再利用経路が実際どの細胞系列で機能しているのか、またどうして子宮内死亡するのかについてISHおよびRNA-seq解析を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の目標は、(1)原腸陥入におけるレトリバーの機能を明らかにすること、(2)レトリバー輸送系とレトロマー輸送系の差異を明らかにすること、(3)エピブラストの増殖に対するレトロマーの関与を明らかにすること、(4)3C症候群様の患者に認められた変異をマウスに導入することの4つであるが、これまでに以下の結果を得ている。(1)レトリバー不全マウスでは、あるシグナル経路の抑制因子発現が低下しており、レトリバーはその分子の再輸送ができないことが予想される。(2)胎生致死の時期、表現型について明らかな差を認めないものの、RNA-seqの予備的解析では有意な差があり、輸送タンパクの違いが示唆される。(3)in vivoでは、レトロマー欠損マウスでエピブラストの増殖に明らかな差を認めない。(4)新たにヒト3C症候群で認められた2遺伝子について、その変異導入マウスを得て、現在解析を行なっている。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度の4項目を継続して完成させるとともに、LC-MS/MSを使って、(5)レトリバー輸送系における罪にタンパクを同定する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
LC-MS/MS解析のセットアップ、RNA-seqの受託解析、動物購入や試薬等、おもに「その他」に計上される研究経費に充てる。
|