研究課題
老化マウスを使用して脳内におけるRNA binding proteinとしてG3BP2, PSF, TRIM25の発現を解析した。Western blot法によるタンパク質発現の定量化を行うとともにRNAを抽出しqRT-PCRによる発現解析も行った。また組織内における発現を解析するため免疫組織染色を行い発現細胞を観察した。G3BP2はマウス脳の細胞質を中心に核内にも発現が認められた。発現は主に神経細胞に集中しており海馬および大脳皮質における高発現が観察された。一方G3BP1はRNAレベルでもG3BP2より発現は低くG3BP2が脳内におけるメインのisoformと考えられた。さらにPSF、TRIM25についても神経細胞の核内での高発現を認めた。さらに3分子とも加齢に伴い発現が減少することを見出した。発現減少のメカニズムの一つとしてMED-IPによるエピゲノム解析を行ったところDNAメチル化のプロモーター領域での上昇が認められ加齢に伴うメチル化の変化が関与することが示唆された。以上より加齢に伴い性ホルモンに関連して発現するこれらのRBPは加齢に伴い減少し老化に抑制的な働きを持つことが考えられた。さらにPSFによる核内での遺伝子発現制御についてRNA-seqを用いた解析を行う。神経細胞におけるPSFの発現抑制を行い主な標的遺伝子であるAPPの発現低下を観察した。この条件によるRNA-seqを行い、標的遺伝子の網羅的な同定を行っている。
2: おおむね順調に進展している
1年目としてマウスを中心に遺伝子の発現解析を行った。またPSFの発現抑制によるRNA-seq解析も進んでおりおおむね計画通りと考えている。
今後ヒト細胞株を用いたシグナルの解析、神経細胞の機能への影響を解析する予定である。G3BP2はストレス下におけるストレス顆粒の形成を蛍光免疫染色を行う予定である。神経細胞への影響としてアポトーシスの発生への影響をTUNEL法およびWestern blotを用いたアポトーシスマーカーの発現の解析を行う予定である。RNA-seqデータの解析についてはG3BP1/2発現抑制によるRNA-seqデータとの統合解析を行う予定でこれらの因子の協調作用、遺伝子発現制御への影響を解析する予定である。
おおむね必要な実験施行に計画通りに予算を使用した。余りは少額であり次年度の研究費に追加して使用する予定である。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 1件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
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