研究課題/領域番号 |
23K06425
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
後藤 清香 (盛口清香) 宮崎大学, 医学部, 助教 (90468041)
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研究分担者 |
梅北 邦彦 宮崎大学, 医学部, 准教授 (20506084)
魏 峻洸 宮崎大学, 医学部, 助教 (30794656)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | SFTS / Pathology |
研究実績の概要 |
重症熱性血小板減少症候群(severe fever thrombocytopenia syndrome; SFTS)は、SFTSウイルスによるマダニ媒介性新興ウイルス感染症で、発熱、血小板減少、出血、消化器症状、神経症状を特徴とする。血球貪食症候群や播種性血管内凝固症候群を伴い、致死率が30%に及ぶ重篤な感染症であるが、主症状である出血傾向をきたす血小板減少や、凝固異常の病態は明確ではなく、病態の解明や治療法の開発などが喫緊の課題となっている。 本研究では、SFTS剖検症例の病理標本や患者血清を用いて、血小板減少と血液凝固異常の病態を明らかにすることを目的とし、研究を進めている。 本年度は、宮崎大学医学部附属病院及び県内の病院の剖検症例から、SFTS剖検例を抽出し、 H&E染色標本で、全身臓器の観察を行った。SFTSの原因となるマダニの咬傷が組織学的に確認されたのは数例に過ぎなかった。既知の壊死性リンパ節炎や血球貪食所見は、ほとんどの症例かつ複数の臓器で観察された。骨髄での巨核球の増加ははっきりせず、血小板の産生も保たれているようであった。他、数は多くないものの、微小血栓様(血小板血栓様)の所見がみられた症例があった。多くの症例で呼吸不全が死因となっていたが、それらの症例では肺に広範なうっ血水腫の所見を認めた。現在も、新しい組織所見の有無を検索中である。また、年齢・性別を合わせた対照剖検例を抽出中であり、抽出された症例については、SFTS症例との比較を行うため、組織所見の検索を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記載した研究計画に基づいて研究を遂行している。
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今後の研究の推進方策 |
血栓様病変を確認した臓器で、血小板糖タンパクIIb/IIIa、フィブリン、VWF、各種白血球抗原の免疫組織化学で、血栓を同定し、その組成を明らかにする。 内皮細胞マーカーで、血栓様病変部での内皮の有無を明らかにする。 脾臓で血小板糖タンパクIIb/IIIaとマクロファージ(CD68)の蛍光二重染色で血小板貪食の有無と程度を半定量化し、対照群と比較する。 骨髄での巨核球(VWF)の形態観察・数を計測し、対照群と比較する。
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