研究課題/領域番号 |
23K06447
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
宍戸 由紀子 (宍戸ー原由紀子) 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40313267)
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研究分担者 |
山田 惠 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80315960)
中屋 隆明 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80271633)
伊東 恭子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (80243301)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 進行性多巣性白質脳症 / JCウイルス / 薬剤関連 / 脳生検 / 鑑別診断 / 炎症 / 悪性リンパ腫 |
研究実績の概要 |
進行性多巣性白質脳症(progressive multifocal leukoencephalopathy: PML)はJCウイルス(JCV)感染による脱髄脳症である。JCVは人口の大半に持続・潜伏感染し、宿主免疫能の低下に伴い再活性化してPMLを発症する。かつてPMLは後天性免疫不全症候群(AIDS)に合併する致死的疾患として知られていた。しかし2004年以降、多発性硬化症の疾患修飾薬(disease modifying drugs: DMD)に伴うPMLが話題になり、免疫系薬剤の有害事象として知られる様になった。薬剤関連PMLはウイルス量が少なく、脳脊髄液(cerebrospinal fluid: CSF)からのPCRでJCウイルスが検出されないことも少なくない。CSF-PCR陰性の場合、しばしば脳生検が施行されるが、採取された脳の小組織片に、典型的なウイルス感染細胞が含まれていない場合、病理診断は極めて困難になる。また、薬剤関連PMlでは、高頻度に免疫再構築症候群(immune reconstitution inflammatory syndrome: IRIS)を伴い、高度な炎症反応は、悪性リンパ腫としばしば鑑別が求められる。本研究では、薬剤関連PMLの診断基準の確立と、高頻度に認められる炎症反応を正しく評価することを目的に行われた。 今年度は、高度炎症反応を伴い、悪性リンパ腫との鑑別が困難であったPML症例2例を解析できる幸運に恵まれた。宿主免疫応答である炎症反応は、MRI画像上、Gd-T1での造影効果として捉えられるが、炎症の内容(出現する炎症細胞の質と量)は、脳生検検体でしか評価できない。脳生検検体の解析から、今回、高度炎症を伴うPMLが予後良好である場合、PD-1/PD-L1の免疫チェックポイントが機能している可能性を示唆する新しいデータを得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、炎症を伴うPMLを複数症例解析する幸運に恵まれ、そのうちの2症例を症例報告することができた。また、1症例を免疫組織化学にて解析し、PD1/PD-L1免疫チェックポイントが機能している可能性を示唆するデータを得る事ができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の変更はない。 今後も脳生検検体を病理組織学的に解析するに加え、パラフィンブロックから核酸抽出し、分子生物学的手法を用いた解析も加えていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、薬剤関連PMLを疑う脳生検症例に恵まれ、複数の症例報告を行う機会に恵まれた。このため、論文執筆に多くの時間を費やした結果、次年度使用額が生じる結果となった。しかしながら貴重な症例を蓄積できたことから、今後のステップアップが期待できる。次年度使用額は、炎症細胞のclonarityを解析するためのPCR関連試薬や、免疫系の各種抗体の購入費に当てる予定でいる。
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