• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

インフラマソーム活性化の心不全への寄与の病理学的解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K06464
研究機関愛媛大学

研究代表者

倉田 美恵  愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 講師 (80423440)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード自然炎症 / インフラマソーム / 心不全
研究実績の概要

申請者は、循環器系疾患の病態には慢性炎症があり、長期的な経過で動脈硬化症や心不全に悪影響を及ぼすことを臨床の場で体感してきた。その病態解明のため、NLRP3 インフラマソームが恒常的に活性化しているモデルマウス)を用いることで動脈硬化におけるNLRP3 インフラマソームの関与を評価できると考えた。
私たちが樹立したNLRP3活性型モデルマウスでは、末梢血中の好中球増多、生後約3 日目から好中球浸潤を主体とした無菌性急性炎症が認められ、心筋内に好中球浸潤を主体とした無菌性急性炎症像が生じる。本マウスは予想と反し動脈硬化を生じなかった一方で、経時的に心肥大が生じ機能的にも心不全となり自然死することが明らかとなった。
本マウスとASC 機能的欠失マウスとの交配によって、長期生存率は野生型マウスと同等となっり、premature deathが抑制できることを確認した。かつ、組織学的には全身性に生じていた無菌性急性炎症が抑制されることを組織学的に確認した。さらに、flow cytometryによる血球分画は、好中球比率は野生型と同等にまで改善している事、骨髄像も過剰な「右方移動」が改善している事を見出した。
動脈硬化にもNLRP3インフラマソームが深くかかわっているとの報告が多いが、心不全は異なる機序で発症していることがモデルマウスの長期観察によって明らかになった。さらに、ASC欠失によりNLRP3シグナルが伝わらないことでその病態を軽減できることを意味している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

NLRP3活性型モデルマウス、ASC欠失マウス、野生型マウスにおいて、それぞれの生体を用いた長期観察・心エコーを含む循環機能的・全身の組織学的解析はほぼ終了し順調に進捗した。白血球分画の確認も終え、それぞれの系統におけるインフラマソーム活性を評価する予定である。
当初2023年度にヒト検体における検討として、心不全剖検症例における不全心筋でのNLRP3インフラマソーム構成分子の発現解析当教室に保存されて剖検例から臨床的に心不全死が指摘されていた症例、指摘されていなかった症例それぞれの左心室を選出し、NLRP3インフラマソームの構成分子である、NLRP3, ASC, caspase-1, IL-1bの発現を免疫組織学的に明らかにすることを目標としたが、剖検心を用いたインフラマソーム免疫染色を予定していたが、死後時間経過、不適切な固定状況などサンプルとして不適な症例が多く症例集めに時間がかかっている。

今後の研究の推進方策

引き続きヒト検体のサンプル策定を行う。
また、私たちは既に東大創薬機構から提供されたコアライブラリーを用いてNLRP3インフラマソームのみを細胞外に再構成したコムギ胚芽無細胞インフラマソーム再構成系を用いて探索し、NLRP3インフラマソームのみを標的とした化合物を同定している。申請者が同定した化合物、MCC950のNLRP3阻害薬を若年時から投与し下記を行う。骨髄好中球活性化、寿命の変化をLPSで刺激した後に、最大48時間培養し、FITC標識Annexin Vを用いて蛍光染色したのちにflow cytometryでアポトーシス細胞を検出する。機能評価として心臓超音波検査で心機能、病理学的に線維化を定量し心不全に対する効果を比較する。

次年度使用額が生じた理由

剖検心を用いたインフラマソーム免疫染色を予定していたが、死後時間経過、不適切な固定状況などサンプルとして不適な症例が多く症例集めに時間がかかったため、免疫染色の行程を進行させることができなかった。今後は対象を広げ症例の収集にあたり、予算執行に注力する。

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi