研究実績の概要 |
(1)Non-TRU type肺腺癌の特徴を解析し,(2)non-TRU type肺腺癌を層別化するバイオマーカー,並びに分子標的を同定したいと考えている. 上記のうち(1)については,自治医科大学附属病院にて2010年~2013年に外科的に切除された肺腺癌連続237例における臨床病理学的因子,免疫組織化学染色による細胞形質,ドライバー変異の頻度,分布について予備解析を行った.研究分担者の協力を得てMINtS解析によりドライバー変異の頻度分布データを取得した.予備解析ではnon-TRU type肺腺癌はTRU type肺腺癌と比較し組織亜型,ドライバー変異の頻度分布,喫煙歴に顕著な違いがみられた.この結果はTRU type肺腺癌に対するnon-TRU type肺腺癌の特徴を示し, non-TRU type肺腺癌の多様性を示唆すると考えられた(第112回日本病理学会総会,2023).次に2014年~2021年の肺腺癌約1000症例より組織像及びTTF-1染色により約130例のnon-TRU type肺腺癌を選出し,TRU-type肺腺癌とnon-TRU type肺腺癌は各約180~200例前後と両者の比較に十分な数を確保した.(2)については形態学的基準で選出したnon-TRU型肺腺癌43例(Matsubara et al. Cancer Sci 2017, PMID: 28677170) から既に取得したゲノム解析情報を用いて低悪性度症例と高悪性度症例の間で差次的発現を示す候補遺伝子を抽出し,公開データベースによる予後因子解析を経て候補遺伝子を選出した.次に肺癌検体で検証するため候補遺伝子に対応する免疫染色の条件検討を行い,候補遺伝子を4つとした. 少数のnon-TRU type肺腺癌での予備検討を経てTRU/non-TRU type肺腺癌における比較解析を行う予定である.
|