研究課題/領域番号 |
23K06479
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
菅谷 佑樹 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 講師 (00625759)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | てんかん / 海馬 |
研究実績の概要 |
てんかんは、繰り返す自発的な発作症状を認める、神経疾患のなかでも最も頻繁に認められる病態の一つである。特に内側側頭葉からてんかん性の神経興奮が生じる内側側頭葉てんかんは、意識障害を伴う発作を主症状とし、抗てんかん薬に治療抵抗性の患者が30~40%いると報告されており、その病態の解明が重要な課題と考えられている。内側側頭葉てんかんの組織では異常なニューロンの新生がみとめられ、近年注目を集めている。それらの新生ニューロンがてんかん発作症状に対してどのような影響を与えているのかに関しては、動物モデルを用いて様々な方法を用いて相反する結果が報告されており、より精度の高い研究が必要とされている。本研究は、光遺伝学的実験やカルシウムイメージング技術を用いて、てんかんにおける新生ニューロンの活動と役割を明らかにすることを目的とする。 2023年度は新生ニューロンがてんかん発作中にどのような活動をしているのかを明らかにすることを目的とした。新生ニューロンにおいてカルシウムインジケーターを発現するマウスを作成し、さらにこのマウスにおいて内側側頭葉てんかんのモデルマウスを作成した。このマウスにおいてカルシウムイメージング、脳波記録と行動記録を同時に行い、新生ニューロンの活動をとらえることに成功した。結果を解析したところ、新生ニューロンは発作によって活動が上昇しており、他のニューロンと比較して特徴的な活動が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、細胞活動をとらえることができた。また、その活動を詳細に解析し、その特徴を抽出することに成功している。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の目標である、細胞活動をとらえ、その特徴を明らかにできたことから、2年目は新生ニューロンの活動を光遺伝学的に操作することで、新生ニューロンがてんかんに与える影響を明らかにする。そのために新たなマウスを作製する。このマウスで新生ニューロンの活動を増強もしくは抑制することによって発作の時間や重症度がどのように変化するかを明らかにする。比較のため、歯状回の新生ニューロン以外の細胞を操作した際の発作の変化も明らかにし、新生ニューロンが特異的な働きを持つのかどうかを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
GRINレンズなどの光学部品の消耗品の再使用が可能であったため次年度使用額が生じた。令和6年度は光遺伝学的実験に使用する消耗品としてカスタムメイドの電極付きLEDが必要となり、てんかんモデル動物の作成が円滑に進まない場合は多くの電極付きLEDが必要となるため、消耗品の使用額が大きくなることが予想される。したがって、電極付きLEDの購入およびてんかんモデルマウス作製に必要な試薬に充てる計画である。
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