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2023 年度 実施状況報告書

Connexin 43による上皮細胞層からの癌細胞排除制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K06486
研究機関北里大学

研究代表者

加藤 琢哉  北里大学, 医学部, 講師 (00551970)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード細胞競合 / Connexin 43
研究実績の概要

当初の研究計画に従ってCX43のノックアウト(KO)によって細胞内の量が変化する低分子量の分子を探索した。検討した分子(ATP, glucose, lactate)の内、ATPとglucoseがCX43KO細胞内で減少していることを見出した。このことから、CX43の発現濃霧によってATPやglucoseの量に差ができることで細胞競合が起こるか否かが決定されているものと考えた。そこで、HaCaT細胞と癌細胞の三次元共培養系において、ATPとglucoseを外部から供給してやることで細胞競合に変化が出るかどうかを検討したところ、本来HaCaT細胞に押し出されないはずのCX43KO細胞が低濃度(10μM)のATP処理によって押し出されるようになることが明らかになった。一方で高濃度(100μM)のATPで処理するとまたCX43KO細胞が押し出されなくなった。このことから、正常細胞と癌細胞の細胞競合ではATP濃度に依存して複雑なシグナルの制御がなされているものと考えられた。そのため、低濃度および高濃度のATPで刺激した際に細胞内のシグナルにどう影響が出るのかを検討したところ、WT, CX43KO共に癌細胞では濃度に関係なくATP刺激によって細胞内のAKTの活性化が見られるが、HaCaT細胞では高濃度のATP刺激によってのみAKTの活性化が観察された。このことは、低濃度のATP刺激ではWT, CX43KO共に正常細胞との間にAKTの活性に差が出るが、高濃度のATP刺激ではその差が失われることを示しており、このAKT活性の差の有無が細胞競合の有無につながるのではないかと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初計画していた、CX43がどのような分子の輸送によって癌細胞の細胞層内における細胞競合を制御しているかという問いにはATPの関与を示すことで一定の解答を得たと考えている。また、ATPの添加によって癌細胞の動態を制御できることを示すなど、想定していた成果以外の結果を得ることができており、次年度以降の研究の進展に資する発見があったと考えたため。

今後の研究の推進方策

AKTの阻害剤や活性化剤、あるいはsiRNA等を用いて生理的なAKT活性化を乱すことで今年度見出したATP刺激によるAKT活性化の差が実際に細胞競合の有無につながるかどうかを検討する。また、その際にAKT活性に差がある細胞間で細胞内にどのような違いが生じるか、具体的にはアクチンやミオシンといった細胞骨格に着目して検討を進める。

次年度使用額が生じた理由

研究代表者が他の研究機関に移るために当該年度の終盤で実験の実施が困難となり、その期間で使用するはずであった金額を次年度に繰り越すこととした。次年度は実験の行えなかった期間になされるはずであった実験と次年度に予定されていた実験の双方に取り掛かり、助成金を適正に使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] REV7 is involved in outcomes of platinum‐based chemotherapy in pancreatic cancer by controlling the DNA damage response2023

    • 著者名/発表者名
      Tamaki Akihiro、Kato Takuya、Sakurai Yasutaka、Sato Keita、Adachi Kai、Tadehara Masayoshi、Kogami Taro、Matsushita Masahiro、Hoshino Akiyoshi、Sanoyama Itaru、Numata Yoshiko、Umezawa Atsuko、Ichinoe Masaaki、Ichihara Masatoshi、Kusano Chika、Murakumo Yoshiki
    • 雑誌名

      Cancer Science

      巻: 115 ページ: 660~671

    • DOI

      10.1111/cas.16044

    • 査読あり

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公開日: 2024-12-25  

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