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2023 年度 実施状況報告書

Borrelia fainiiの新規H因子結合抗原の同定ならびに機能解析とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 23K06539
研究機関国立感染症研究所

研究代表者

佐藤 梢  国立感染症研究所, 感染症危機管理研究センター(細菌第一部併任), 任期付研究員 (70911189)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードborrelia / 回帰熱 / 自然免疫 / 血清耐性機構 / H因子
研究実績の概要

ヒト回帰熱病原体Borrelia fainiiは菌体表層にH因子を結合させ,血液中の補体系を負に制御することでヒト自然免疫から逃避することが示された.Far Western Blot(Far WB)解析の結果,B. fainii由来H因子結合タンパク質は,分子量がおよそ20kDaであり,かつ細胞膜画分に多く含まれていた.そこでB. fainiiの細胞膜画分ならびに細胞質画分のうち15-25kDa付近に電気泳動されたタンパク質の質量分析を行い,H因子結合抗原の候補条件として,23種類のタンパク質を選出した.本研究では,これらH因子結合候補抗原23種類について解析を実施した.
B. fainiiのH因子結合タンパク質遺伝子を決定するために,H因子結合候補抗原23種類の一次構造から大腸菌を利用した組換えタンパク質を作成し,20種類のB. fainii由来タンパク質が得られた.各々のタンパク質とH因子の相互作用を検討するために,B. fainii由来タンパク質を抗原としたFar WB解析を再度行い,3種類のB. fainii由来H結合タンパク質を同定した.これら3種類のタンパク質をコードする遺伝子のうち,2つがB. fainiiの染色体上,1つが線状プラスミド上に位置した.また,これらのアミノ酸配列は既知のH因子結合抗原と相同性が見られず,いずれも機能未知タンパク質であったことから,ボレリア属では未だ知られていない新規のH因子結合タンパク質と考えられた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

B. fainii由来H因子結合タンパク質は血清耐性化に関わる因子である可能性が強く示唆された.血清耐性度の評価を行うために,研究計画に準じて実験を実施中である.また,大腸菌による組換えタンパク質が得られなかった3抗原については,大腸菌を用いた組換タンパク質の作成と評価を行なわず,B. gariniiを用いた形質転換株の作成とH因子との結合実験を行う.

今後の研究の推進方策

B. fainii由来H因子結合抗原のヒト血清耐性度を評価するために,血清感受性のB. garinii HT59G株にH因子結合候補抗原である3遺伝子を導入した形質転換株を作成し,血清非感受性化(=耐性化) の形質を付与するか否か血清感受性試験を実施する.
一方,ライム病群ボレリアはH因子結合抗原を複数保有している.その一つであるComplement regulator-acquiring surface protein Aは立体構造を保つことによりH因子と結合するため,Far WB解析ではH因子への結合が認められない.以上ことから,他にもB. fainii 由来H因子結合抗原を有することが考えられたため,既知のボレリア属由来H因子結合抗原が構成するモチーフやドメインからの探索も検討に加える予定である.

次年度使用額が生じた理由

当初計画より試薬や解析等の経費を節約することができたため,未使用額が発生した.そのため,翌年度分に繰越し,新たな解析等を追加する予定である.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 新しく発見された回帰熱病原体Borrelia fainii のヒト血清耐性化因子の探索2023

    • 著者名/発表者名
      佐藤梢
    • 学会等名
      第166回日本獣医学会学術集会

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公開日: 2024-12-25  

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