研究課題/領域番号 |
23K06541
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
松田 泰幸 旭川医科大学, 医学部, 助教 (10532252)
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研究分担者 |
原 英樹 旭川医科大学, 医学部, 教授 (30456892)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 薬剤耐性アシネトバクター / 感染症 / 炎症 / インフラマソーム / LPS |
研究実績の概要 |
薬剤耐性アシネトバクター(MDRA)は様々な抗菌薬に耐性であるため、有効な治療法は少なく、新たな治療法の開発が課題となっている。申請者はMDRAが感染した際に、炎症応答の一種であるインフラマソーム応答が活性化すること、またMDRAがインフラマソームを活性化することで感染宿主内での菌の増殖を加速していることを見出した。本研究では、MDRAが宿主炎症応答を利用して生体内増殖を促進するメカニズムを解明することで宿主感染病態の改善方法を見出すことを目的として、感染で誘導されるインフラマソーム応答関連分子の同定とインフラマソームを活性化させるMDRA側の因子について検討を行った。 MDRA感染におけるインフラマソームの活性化には細菌表層成分であるLPSが関与することを申請者は明らかにしていた。LPSを介したインフラマソーム応答に関わる宿主側の因子について検討したところ、細胞内LPSセンサーであるCaspase-11がMDRA感染時のインフラマソーム応答に必要であることを見出した。また、このCaspase-11を介したインフラマソームの活性化にはLPSの構成成分であるアシル基が必要であることを突き止めた。次に、Caspase-11が感染宿主内でのMDRAの増殖に関わるか検討したところ、MDRAの臓器内菌数がCaspase-11依存的に増加することを見出した。さらに、MDRA感染時のマウスの致死率がCaspase-11依存的に増加することを明らかにした。以上の結果から、MDRAはLPSを介してCaspase-11依存的なインフラマソームを活性化することで宿主の感染病態を悪化させることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り進行しているため
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、MDRA感染におけるインフラマソームの活性化機序および病態悪化のメカニズムについて研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の想定よりも旅費やその他の経費が少なかったため。次年度の研究にかかる物品費、旅費、その他の経費として使用する。
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