研究課題/領域番号 |
23K06551
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
国分 栄仁 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (70453785)
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研究分担者 |
菊池 有一郎 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (30410418)
米澤 英雄 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (60453528)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | Treponema denticola / TLR / 免疫応答 / dentilisin / msp |
研究実績の概要 |
Treponema denticolaは慢性歯周炎の病巣から高頻度で検出され、その発症に深く関与している。本菌のouter sheathには表層プロテアーゼ(dentilisin)、major surface protein (msp)が存在し、病原因子として機能している。本研究ではこれらの病原因子が本菌の運動性に与える影響を解析する。以前にT. denticolaの欠損株を作成し、その運動性を観察した結果、野性株に比べて運動性が低下したことを認め、さらに前後方向への移動やピボット状に回転するなど、野性株と異なる動きを呈することを雑誌に投稿し、掲載された。 現在は各菌株を細胞に感染させて細胞の免疫応答、特に細胞表面での免疫認識におけるTLR受容体の活性化について調べており、病原性の有無によりTLR活性が変化することを認め、さらに菌体タンパク抽出物を添加すると、より多くのTLR2活性化を認めた。このことから病原因子は外膜に存在しているが、TLR2を活性化させるタンパクの局在性は外膜に内在している部分が関与している、あるいは運動性がTLR2受容体との結合を阻害している可能性が考えられた。本研究内容については現在投稿中である。また、菌体表層タンパクが運動性に与える影響を調べるため、表層タンパクに対する抗体を作成し、蛍光観察での局在性の確認と、金粒子を用いてリアルタイムでタンパクの移動を観察する手法を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在は雑誌に投稿中であり、また、運動性に関わる研究においても引き続き実験を継続して行っているため、菌体表層タンパクと運動性、細胞侵入性、免疫回避機構と幅広く研究につながる実験を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
現在までにTreponema denticolaの病原因子が運動性に関わることを報告した。病原因子が菌体でどのような局在性、表層での分布を調べることで、細胞内に侵入する際のkeyとなり得るのか研究を進めていく。同時にリアルタイムで細胞に感染させた状態を観察することで、細胞上での動きをトレースし、欠損株と野性株での運動性を調べることで、病原因子の役割を追求する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画では次年度に論文投稿を考えていたが本年度に投稿し、実験計画を次年度に遅らせたことで実験の消耗品購入頻度が減ったため。
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