研究課題/領域番号 |
23K06552
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
田島 寛隆 法政大学, マイクロ・ナノテクノロジー研究センター, 客員研究員 (40642468)
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研究分担者 |
西山 宗一郎 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 准教授 (30343651)
今田 勝巳 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (40346143)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 走化性 / 病原性発現 / リガンド認識 |
研究実績の概要 |
本研究ではコレラ菌Vibrio choleraeのセロトニン走性について解析を行った.セロトニンはトリプトファンから合成されるシグナル伝達物質である.脳内で合成されたものは神経伝達物質として作用するが,大部分は腸内の腸クロム親和性細胞などで合成され,腸の蠕動運動亢進等の作用をもつ.コレラトキシンはセロトニンの放出を誘発し,腸液分泌を亢進させる.これまでの研究により,コレラ菌はセロトニンに対して誘引応答を示す結果が得られており,また予備的な結果ながらセロトニン走性に関与すると思われるセンサータンパク質StnRを見出していた.本年度はstnRの欠失株を作製し,解析を行った.stnRを欠失したclassical型コレラ菌O395N1株はセロトニンを与えても方向転換頻度が低下しなかったが,プラスミドからStnRを相補すると誘引応答がみられた.この結果から,StnRはセロトニン走性を媒介すると考えられた.また,StnRのペリプラズムドメインのフラグメントタンパク質を発現・精製した.Isothermal titration calorimetry (ITC)を用いてセロトニンを滴定したところ,結合熱が検出されたことから,StnRはセロトニンの受容体であると推定された.現在は,セロトニン結合残基と推定した残基へのアラニン変異導入や,セロトニン誘導体を用いた生化学的な手法を用いて,セロトニン認識メカニズムの解析を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
StnRがセロトニン走性受容体である結果が得られており,概ね予定通り進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
StnRのセロトニン認識メカニズムの解析を進める.具体的には,アラニン変異導入やセロトニン誘導体を用いた生化学的な手法と,ペリプラズムドメインフラグメントの結晶構造解析を並行して進めていく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は,研究の進捗に応じて計画を変更したこと,それにより設備備品費や消耗品費が抑えられたことによって生じたものである.24年度では,論文の雑誌への掲載や,それに伴う研究消耗品費の増加も予定している.研究を推進させ,適切に使用したい.
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