研究課題/領域番号 |
23K06563
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
西尾 真智子 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (70156040)
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研究分担者 |
坂 直樹 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (80867474)
太田 圭介 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90625071)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ハザラウイルス / N蛋白質 / RNA-binding |
研究実績の概要 |
クリミア・コンゴ出血熱ウイルス(CCHFV)は致死性の高い人獣共通感染症の1つであり、研究にはバイオセーフティーレベル(BSL)4の施設が必要であるため、研究が制限される。そこで、遺伝的に最も近縁でBSL2で扱えるハザラウイルス(HAZV)をモデルウイルスとして使用し、ウイルスの転写・複製に重要なアミノ酸の解析を行うこととした。 ウイルスゲノムを転写・複製するためにL蛋白とN蛋白がゲノムに結合する事が必須である。まず、N蛋白の立体構造を考えて、RNA-bindingに重要な蛋白上の領域の解析を行った。N蛋白は立体構造を考えるとHeadの領域とStalk領域に分けられる。CCHFVのN蛋白の立体構造とも比較し、RNAとの結合に重要であると思われるアミノ酸としてHeadの領域のRegion 1と名付けた領域に7個、立体構造的に反対側のReagion 2の領域に3個、Stalk領域に7個、計17個のアミノ酸を選んだ。それぞれのアミノ酸に変異を入れたN蛋白を発現させ、ミニゲノムの系により活性を検討した。17個のアミノ酸の中で、Headの領域の411番目のアミノ酸に変異を入れたN蛋白のみが活性がなくなった。そこで、立体構造的に、この411番目のアミノ酸の周りでpositive chageを持つアミノ酸を10個選び、再度検討した。その結果、合計4箇所のアミノ酸が活性に重要であり、RNA-binding能にも関与している事が明らかになった。この4個のアミノ酸はリシンかアルギニンであるが、これらのアミノ酸をアラニンやグルタミン酸に変えると活性がなくなるが、リシンをアルギニン、アルギニンをリシンに変更しても活性は維持できた。つまり、これらのアミノ酸の電荷が重要である事が明らかになった。現在、これらのアミノ酸変異を持つ組換えウイルスが作製できるのか検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに作製したミニゲノムの系を用いて、アミノ酸変異を入れたN蛋白が転写・複製するため機能を維持しているのかを検討できた。また、以前、別のウイルスでRNAと蛋白の結合をモノクローナル抗体による免疫沈降とPCRの組み合わせで検討した事があるが、すでに作製したHAZVのN蛋白モノクローナル抗体を使用し、同様の方法で検討する事ができた。これらの組み合わせにより、RNA-bindingに重要なN蛋白上のアミノ酸の同定に成功した。現在、同定したアミノ酸に変異を入れたウイルスがレスキューできるのか検討中である。ここまでのデータをまとめて、論文を作成する予定であり、概ね順調であると言える。
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今後の研究の推進方策 |
N蛋白はL蛋白と結合するが、アミノ酸に変異を入れて、両蛋白の結合に重要なアミノ酸を同定していく予定である。また、N蛋白はエンドヌクレアーゼ活性を持つ事がわかっているので、活性に重要なアミノ酸を同定していく予定である。エンドヌクレアーゼ活性を検討するためには大腸菌により蛋白を発現させ、精製し使用する必要があり、その準備を進めている。
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