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2023 年度 実施状況報告書

Nr4aによるNASH病態形成メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K06587
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

安藝 大輔  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (50420500)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード免疫老化 / Nr4a / CD4 T細胞 / NASH
研究実績の概要

これまでの研究において、免疫老化の制御因子として同定したNr4a1/Nr4a2のT細胞特異的二重欠損マウス(以下DKOマウス)が食餌誘導性NASHモデルにおける肝線維化に抵抗性を示すことを見出していた。本年度は、野生型マウスとDKOマウスにおけるNASH肝臓内での非実質細胞、特に免疫細胞のプロファイルを解析することによって、Nr4a欠損T細胞による肝線維化抑制の原因を細胞レベルで明らかにすることを目標とした。解析の結果、DKOマウスでは野生型マウスと比較して、炎症性単球の著しい減少が認められた。好中球や組織マクロファージの分布に変化は見られなかった。リンパ球に関しては増殖した細胞の多くはCD8 T細胞であったが、CD8 T細胞特異的Nr4a1/2欠損マウスでは肝線維化の抑制は観察されなかった。これらの結果より、DKOマウスにおいてCD4 T細胞を介した抗炎症作用がNASHの進展を抑制している可能性が考えられた。そこでNASHマウスにおける肝臓CD4 T細胞を単離し、bulk RNAシークエンスを実施し、これらの細胞のトランクスクリプトーム解析を行った。その結果、DKOマウスの肝臓内では制御性T細胞(Tregs)が顕著に増加していることが明らかになった。一方でIFN-g陽性のTh1細胞及びIL-17を産生するTh17細胞は減少していた。DKOマウスでは、Tregsが増加することによって炎症性単球などを介した炎症反応や引き続き起こる肝細胞死が抑制されること、あるいは正常な組織修復が促されることが推察された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度に予定していた肝臓非実質細胞内の免疫細胞のプロファイル解析をほぼ完了することが出来た。本年度に得られた結果から、次年度以降はNASHに伴うCD4 T細胞の形質変化とNr4aによる分子レベルでの制御機構に焦点を当て、詳細な解析を実施するという当初の研究方針がより確かなものとなった。よって本研究はおおむね順調に進展していると考えている。

今後の研究の推進方策

研究計画に従い、Nr4aがCD4 T細胞によるNASHの病態形成を制御する仕組みについて細胞及び分子のレベルで明らかにする。

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公開日: 2024-12-25  

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