研究課題/領域番号 |
23K06599
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
原田 陽介 東京理科大学, 薬学部生命創薬科学科, 准教授 (20328579)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 腸管免疫 / 制御性T細胞 / 上皮バリア / IL-4 / IL-13 / 2型ヘルパーT細胞 |
研究実績の概要 |
制御性T細胞(Treg)は腸内細菌叢に対する過剰な応答を制御する重要な細胞群であるが、Tregに異常が生じた際におこる腸管上皮バリア破綻にどのような細胞やサイトカインが関わっているのかはよくわかっていない。我々はこれまでにFoxp3 コンディショナルノックアウトマウス(Foxp3 cKO)を用いて、Tregの異常が腸内細菌叢の乱れと腸管上皮バリアの破綻を引き起こすこと、大腸の粘膜固有層において2型ヘルパーT細胞(Th2)が増加することを明らかにしてきた。そこで、腸管上皮バリアの破綻にTh2が産生するサイトカインIL-4、IL-13が関与している可能性を検証するために両サイトカインに共通のレセプターであるIL-4Rα遺伝子をFoxp3と同時に欠損させたところ、Th2の減少および血清アルブミン、抗体分子の体内から腸管腔への漏出の減少が観察された。これらの結果から、IL-4またはIL-13もしくはその両方がTreg機能異常に伴う腸管上皮バリアの破綻に関与していることが明らかとなった。また、IL-13産生細胞を同定するためにIL-13レポーターマウス(IL-13 tdTomato)をFoxp3 cKOマウスと交配して検討したところ、大腸粘膜固有層におけるIL-13の主な産生細胞はTh2と2型自然リンパ球(ILC2)であり、Foxp3遺伝子の欠損によって特にIL-13産生Th2細胞が増加していることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
IL-4Rα遺伝子を欠損させることで、Treg機能異常に伴う腸管上皮バリアの破綻を抑制できること、また、Treg機能異常で引き起こされる腸管におけるIL-13の産生亢進が主にTh2によるものであることを明らかにした。さらにFoxp3 cKOマウスと 各種遺伝子改変マウスとの交配も進んでいることから、本研究は順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
IL-4レポーターマウスを用いて、IL-13産生細胞と同様に大腸粘膜固有層におけるIL-4産生細胞を同定する。また、 IL-4、IL-13のそれぞれをノックアウトすることで、これらのサイトカインのどちらが腸管上皮バリアの破綻に関与しているかを検討する。さらに、腸管上皮細胞のタイトジャンクション関連分子の発現と局在を検討する。また、JAK阻害剤がFoxp3 cKOマウスで見られる腸管上皮バリア破綻を抑制することができるかを検討する。IL-4/IL-13のターゲットが腸管上皮細胞であるかを検討するために腸管上皮細胞のみでIL-4Rαが欠損するマウスを作製する。
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次年度使用額が生じた理由 |
必要な抗体の在庫がなかったため、当該年度に購入できなかった。次年度使用額はその抗体の購入に使用する予定である。
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