現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第一に、Azalam4の阻害特異性を確証する目的で、対象となるCDKターゲット24種類に広げてセルベースCDKパネルアッセイ法にて評価した。その結果、主な標的はCDK1,2,4,6,7,9で、阻害プロファイルは既存の転写調節型CDKと類似し、CDK4/6やCDK8阻害剤とは異なることを確認した。 第二に、Azalam4による細胞選択的な細胞死を起こす原因となる標的分子を明らかにすることを目的として、細胞死タイプの4細胞株へAzalam4を処理し、6時間後の遺伝子発現変動プロファイルをRNA-sequence法を用い比較した。ヒト肺がん細胞株NCI-H522において、DMSO処理群とAzalam4処理群の遺伝子発現量をx軸に変動比、y軸に統計的有意性をプロットして評価したところ、Azalam4処理で有意に発現が低減した上位遺伝子12遺伝子は、一つを除き他の細胞死タイプ細胞株においても発現が1/4以下に低減していた。それらの遺伝子を個別にsiRNAにて発現抑制させ、細胞増殖への影響を評価したところ、増殖停止を起こすA549細胞株へは細胞死を起こさないにもかかわらず、NCI-H522に対しては細胞死を起こす遺伝子が見出された。 以上の結果から、Azalam4に対して「脆弱性を示すがん」がもつ分子的特徴の一つと示唆される遺伝子が見いだされた。以上のように、研究はおおむね順調に進んでいる。
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