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2023 年度 実施状況報告書

大腸がんの浸潤・転移においてがん細胞の分化が果たす役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K06661
研究機関梅花女子大学

研究代表者

山崎 大輔  梅花女子大学, 食文化学部, 准教授 (50422415)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード大腸がん / 浸潤 / 細胞分化
研究実績の概要

一般的に細胞はがん化するにつれて細胞分化の度合いが低くなり、細胞分化の度合いが低いほどがんの悪性度は高くなると考えられている。しかし、本計画ではそうした未分化ながん細胞の集団の中にわずかに含まれる分化度合いの高いがん細胞が、がんの浸潤・転移に寄与している、という仮説のもとに研究を進めている。大腸発がんモデルマウスのひとつApc遺伝子ヘテロ欠損マウスでは、同一個体の腸の中に多数の腫瘍が形成される。このマウスは6ヶ月齢を超えるとその多くが死亡するため、比較的身体の大きなICRマウスと交配させると、12ヶ月以上飼育することができる個体が現れた。それらのマウスから腸を回収し、そこにできた腫瘍を組織学的に解析すると、一部の腫瘍が悪性化し筋層へと浸潤していることがわかった。したがって、このモデルマウスにおいて同一個体の腸にできた悪性度の異なる腫瘍を比較することで、遺伝的な多様性や腸内の環境の違いを考慮することなく、大腸がんの浸潤・転移を検討できると考えられる。実際に、このモデルマウスの腸から回収した腫瘍に対して免疫染色などを用いて細胞分化を比較したところ、腫瘍細胞が上皮層内にとどまっている腫瘍では、分泌系腸上皮細胞のひとつパネート細胞のマーカー分子Lysozymeの発現はほとんど見られなかったが、筋層へと浸潤する腫瘍ではLysozymeを発現している細胞の数が多く、しかもそれらは浸潤部位に集まっていた。現在は、これらの組織から回収したLysozymeを発現する細胞のクローニングに取り組んでいる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の計画では、Lysozyme陽性細胞をクローン化し、その性質や遺伝子の発現を解析する予定であった。しかし、Lysozyme陽性細胞は増殖性が良くないためなのか、数回継代を繰り返すと数が大きく減じてしまい、現在のところクローン化に至っていない。短期の培養の間でも、Lysozyme陽性細胞が浸潤性をもつらしいことは確認できたが、遺伝子発現解析などある程度の細胞数を要する解析はできていない。

今後の研究の推進方策

Lysozyme陽性細胞を、その細胞分化を維持したまま培養することができる条件を見つけ、クローニングする。もしその作業が難航するようであれば、分泌系細胞への分化誘導に関わる転写因子の発言を人為的に変化させることで、人為的に分泌系細胞へと分化させた腫瘍細胞を作出し、その浸潤能を検討する。

次年度使用額が生じた理由

計画当初は、本研究で解析の対象とするLysozymeを発現する細胞をクローン化し、その遺伝子発現をマイクロアレイなどで網羅的に解析する予定であったが、細胞のクローニングが難航しているため、発現解析にまで研究が進まなかった。そのため、解析に必要な試薬代などの支出がなくなったため使用額が大きく減じた。

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公開日: 2024-12-25  

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