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2023 年度 実施状況報告書

オートファジーを標的とする膵がんの新規治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K06667
研究機関北海道大学

研究代表者

大塩 貴子  北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教 (80723238)

研究分担者 園下 将大  北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (80511857)
野田 展生  北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (40396297)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード膵がん / ショウジョウバエ / オートファジー
研究実績の概要

膵がんは、種々のがんの中で最も予後が悪い代表的な難治がんであり、今後も患者の増加が予測されている。しかし、その有効な治療法はほとんど存在しない。そこで申請者らは膵がんに対する新規治療法を開発するために、その遺伝子型を模倣したモデルショウジョウバエ(4-hitハエ)を作出した。このハエを用いた遺伝学および化合物スクリーニングにより、申請者らは膵がんの新規治療標的候補や治療薬候補の同定に成功してきた。さらに申請者は、そのハエを用いた遺伝学的解析により、オートファジーに関わる遺伝子のいくつかがそのハエの生存率の低下を促進することを見出した。そこで、本年度は、これまでに報告されているオートファジー関連遺伝子の中で4-hitハエの悪性形質に関わる遺伝子が他にも存在するかを明らかにするために、ショウジョウバエのストックセンターよりこれまでに報告されているオートファジー関連遺伝子に対するノックアウトやノックダウン系統のハエを取り寄せた。そして、それらのハエを4-hitハエと交配して生存率を検討するために、購入したハエのバランサーを適切なものに変更する作業を行った。全ての系統においてその操作が終了したため、今後4-hitハエを用いた遺伝学解析を行う予定である。
また、これまでに報告されいてるオートファジーを抑制する化合物のスクリーニングを行うために、種々の化合物を購入した。それらの化合物のショウジョウバエでの最大耐量を明らかにするために、野生型のハエにその化合物を混入した餌を食べさせて、生存率が低下しない濃度を調べた。一部の化合物においては最大耐量が決定したが、ほとんどが検討した最大量でも生存率に影響はなく、さらに高濃度での検討が必要である。購入した化合物はDMSOや水に溶解しにくいものも多くあり、その溶媒についても今後検討する予定である。

現在までの達成度
現在までの達成度

3: やや遅れている

理由

マラリアの予防薬として利用されいてるクロロキンはオートファジーを阻害することが知られており、安価に購入できる。一方、他にもオートファジー阻害剤は培養細胞や酵母のスクリーニングによって多数報告されているが、高価なものも多い。そこで、ハエを用いた化合物スクリーニングに用いる化合物の量を節約するために、ハエの実験をこれまでよりも小さなスケールで行えないかを検討した。そして、小さなバイアルに少量の餌を加え、生存率を今までのスケールと同じように判定できる条件を見出した。その結果、これまで1回の実験で必要な餌の量が8 mLであったが、現在の方法では1.5 mLで可能となり、必要な化合物の量も2割以下に節約できる。この検討に時間を要したため、化合物スクリーニングを迅速に進めることができなかった。

今後の研究の推進方策

今年度に準備を行ったオートファジー関連遺伝子に対するノックアウトおよびノックダウン系統のハエを用いて、4-hitハエでの遺伝学スクリーニングを実施する。そして、申請者がこれまでに発見したオートファジー関連遺伝子以外にも、膵がんの治療標的として有望なものがあるかを明らかにする。より有望なものが見つかれば、そのタンパク質の機能を阻害するペプチドや化合物の阻害剤の作出を検討する。
さらに、今年度に確立したスモールスケールでのハエの培養条件を利用し、オートファジー阻害剤をより高濃度に餌に混ぜ込み、ハエの生存率に影響を与えない最大耐量を同定する。そして、その濃度の餌を4-hitハエに経口投与し、生存率を上昇させる膵がんの治療薬候補を同定する。

次年度使用額が生じた理由

化合物スクリーニングに使用する薬剤の見積もりをとったところ、予想以上に高額になることが明らかになった。また、実験スケールを小さくできることを思いつき、その実験系の立ち上げに時間を要したため、化合物購入を最小限にとどめ、思うように計画が進まなかった。そのため、本年度の使用額が当初の計画よりも少なくなった。次年度は、小スケールの系を使ってスクリーニングを本格的に開始したいため、令和6年度の予算と合算して化合物やその他申請試薬や消耗品を購入する予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)

  • [雑誌論文] Concurrent targeting of GSK3 and MEK as a therapeutic strategy to treat pancreatic ductal adenocarcinoma2024

    • 著者名/発表者名
      Fukuda Junki、Kosuge Shinya、Satoh Yusuke、Sekiya Sho、Yamamura Ryodai、Ooshio Takako、Hirata Taiga、Sato Reo、Hatanaka Kanako C.、Mitsuhashi Tomoko、Nakamura Toru、Matsuno Yoshihiro、Hatanaka Yutaka、Hirano Satoshi、Sonoshita Masahiro
    • 雑誌名

      Cancer Science

      巻: 115 ページ: 1333~1345

    • DOI

      10.1111/cas.16100

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Drosophila Screening Identifies Dual Inhibition of MEK and AURKB as an Effective Therapy for Pancreatic Ductal Adenocarcinoma2023

    • 著者名/発表者名
      Sekiya Sho、Fukuda Junki、Yamamura Ryodai、Ooshio Takako、Satoh Yusuke、Kosuge Shinya、Sato Reo、Hatanaka Kanako C.、Hatanaka Yutaka、Mitsuhashi Tomoko、Nakamura Toru、Matsuno Yoshihiro、Hirano Satoshi、Sonoshita Masahiro
    • 雑誌名

      Cancer Research

      巻: 83 ページ: 2704~2715

    • DOI

      10.1158/0008-5472.CAN-22-3762

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] High levels of Myc expression are required for the robust proliferation of hepatocytes, but not for the sustained weak proliferation2023

    • 著者名/発表者名
      Goto Masanori、Ooshio Takako、Yamamoto Masahiro、Tanaka Hiroki、Fujii Yumiko、Meng Lingtong、Kamikokura Yuki、Okada Yoko、Nishikawa Yuji
    • 雑誌名

      Biochimica et Biophysica Acta (BBA) - Molecular Basis of Disease

      巻: 1869 ページ: 166644~166644

    • DOI

      10.1016/j.bbadis.2023.166644

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Hepatocyte-specific damage in acute toxicity of sodium ferrous citrate: Presentation of a human autopsy case and experimental results in mice2023

    • 著者名/発表者名
      Nishikawa Yuji、Matsuo Yasuhiro、Watanabe Ryosuke、Miyazato Mitsuyuki、Matsuo Mikiko、Nagahama Yasuharu、Tanaka Hiroki、Ooshio Takako、Goto Masanori、Okada Yoko、Fujita Satoshi
    • 雑誌名

      Toxicology Reports

      巻: 10 ページ: 669~679

    • DOI

      10.1016/j.toxrep.2023.05.010

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Identifying RFK and MEK as potential therapeutic targets for pancreatic cancer through a Drosophila screening2023

    • 著者名/発表者名
      Ooshio T. and Sonoshita M.
    • 学会等名
      6th Edition of International Cancer Conference
    • 国際学会
  • [学会発表] Drosophila screening identifies RFK and MEK as potential therapeutic targets in pancreatic cancer2023

    • 著者名/発表者名
      Ooshio T.
    • 学会等名
      第10回 IGM研究会
  • [産業財産権] AGENT FOR TREATING OR PREVENTING CANCER, AND COMBINATION OF RF PATHWAY INHIBITOR AND MEK INHIBITOR FOR TREATING OR PREVENTING CANCER2023

    • 発明者名
      OOSHIO, SONOSHITAら
    • 権利者名
      OOSHIO, SONOSHITAら
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      11,925,646
    • 外国

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公開日: 2024-12-25  

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