研究課題/領域番号 |
23K06763
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
久保 博之 香川大学, 医学部附属病院, 医員 (30746681)
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研究分担者 |
内田 俊平 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (20791099)
門脇 則光 香川大学, 医学部, 教授 (60324620)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 自然免疫 / ウイルス療法 / 樹状細胞 |
研究実績の概要 |
予備的な検討として,In vitroでのウイルス力価測定,悪性黒色腫細胞株B16-nectin-1を用いてT-01特異的DNAであるgBのPCR実験を行い,1JのUV照射でウイルス複製能の消失・ウイルス感染能のわずかな残存,5JのUV照射でウイルス感染能・複製能が共に消失することを確認した.次にT-01,1J-UV-T-01, 5J-UV-T-01を用いて,B16-nectin1に対する殺細胞効果実験を行い,1J/5J-UV-T-01で殺細胞効果が消失することが確認された.以上の結果より,B16-nectin-1に対する直接的殺細胞効果にはT-01の感染・複製能が重要であることが示唆された. 次に,ELISAで樹状細胞から分泌されるIFN-αの比較を行い,UV-T-01はUV照射量に関わらず,T-01と同等に樹状細胞を刺激し,IFN-αを産生していることを確認した. 以上の結果を元に,C57BL/6Jマウスの両側側腹部にB16-nectin-1を皮下接種し,一方のみにT-01または1J/5J-UV-T-01を腫瘍内投与し,試験薬投与側の直接的殺細胞効果,試験薬非投与側の遠隔効果を評価した.感染・複製能が消失した5J-UV-T-01の直接的殺細胞効果は大きく減弱し,試験薬非投与側の遠隔効果は消失した.一方で,感染能がわずかに残存する1J-UV-T-01は直接的殺細胞効果・遠隔効果は減弱するものの残存した.以上の結果から,In vivoにおけるT-01の遠隔効果には腫瘍細胞へのウイルス感染能が特に重要である可能性が示唆された. 感染後のウイルス複製が生じない悪性リンパ腫細胞株E.G7-OVA-nectin1を用いて同様のマウス検討を行ったところ,感染・複製能が消失した5J-UV-T-01の直接的殺細胞効果・遠隔効果は消失し,T-01の遠隔効果に感染能が重要であることが再度示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ウイルス感染能・複製能の観点から,直接的殺細胞効果と遠隔効果の検討を,In vitro, In vitro,複数の細胞株で検討が完了した. 研究計画書に沿って,In vitro, In vivoの結果を説明しうる,投与部位の腫瘍、対側腫瘍、所属リンパ節、そして全身的な免疫反応を反映する脾臓において誘導された免疫反応を現在フロサイトメトリーで解析中である.
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今後の研究の推進方策 |
intact-T-01, UV-T-01投与によって誘導された,投与部位の腫瘍、対側腫瘍、所属リンパ節、脾臓における免疫細胞サブセット,特に腫瘍特異的CD8+T細胞フェノタイプのフロサイトメトリー解析を進める.その後,腫瘍浸潤免疫細胞あるいは腫瘍特異的CD8+T細胞のsingle-cell RNA-seqを予定している.
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次年度使用額が生じた理由 |
T-01,UV-T-01の抗腫瘍効果について,In vitro, In vivoでの十分な検討に今年度注力したことから,当初予定していたフロサイトメトリー実験を本年度から次年度にまたがって検討中である.予定されていた同実験に用いるマウス・試薬などの費用について,次年度使用を想定している.
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