2023年度ではpDCsの特異的発現機能制御分子であるSiglec-Hが、がん環境下において免疫チェックポイント分子としての役割を果たす可能性についての仮説を検証するために、野生型(WT)マウス及びSiglec-H欠損マウスを用いて、卵白アルブミン(OVA)発現組換えマウス悪性黒色腫細胞株(B16-OVA)を移植して担がんマウスモデルを作製し、がん浸潤pDCsの機能性状を解析した。その結果、Siglec-H欠損マウスではWTマウスと比較して、がん浸潤pDCsの細胞数が増加し、さらにpDCsの活性化マーカーであるCD40、CD80、CD86の発現の増強を認めた。また、がん組織内のインターフェロン誘導遺伝子の発現もSiglec-H欠損マウスでは増強していた。これらの結果から、Siglec-H欠損マウスのがん浸潤pDCsは免疫活性化機能が亢進している可能性が示唆された。従って、Siglec-Hはがん環境下において免疫チェックポイント分子として機能し、pDCsの活性化を抑制している可能性が示唆された。
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