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2023 年度 実施状況報告書

全脳イメージングを用いた知覚意思決定脳内システムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K06790
研究機関山梨大学

研究代表者

石田 真帆  山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (80362086)

研究分担者 真仁田 聡  山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (80584135)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード頭部固定 / カルシウムイメージング
研究実績の概要

知覚意思決定では、感覚刺激の入力情報を受けて、選択としての行動を出力する。脳内では、入力された感覚情報が、数百ミリ秒という短い時間で収集・蓄積され、ある行動選択肢を肯定する情報が十分蓄積することで出力に向かう。この情報蓄積システムでは、頭頂葉における神経細胞の発火頻度が情報蓄積の過程で上昇する。本研究の知覚意思決定課題では、頭部固定下、前肢を左右のペダルに載せたラットに対して、左右のスピーカーから約1秒間クリック音を出力し、クリック音の総数が多かった側のペダルを上げさせる。本研究の目的は、カルシウムイメージングにより、この知覚意思決定過程における、聴覚野、頭頂葉、運動野に渡る脳神経活動の時間・空間的な位置づけを可視化することである。
ラットにはまず頭部固定用フレームを頭蓋骨に設置する一次手術を行い、知覚意思決定課題の訓練を行うが、課題の習得には数カ月を要するため、今年度は訓練に並行して、カルシウムイメージングのための条件検討を行った。具体的には、できるだけ脳の広い範囲を観察できるようにフレームの形状を改良した。本研究ではフレームのサイズを長方形の従来型(内枠サイズAP方向17mm×ML方向42mm)から、より広い範囲を観察できるように、フレーム中央に楕円形の枠(AP方向内枠(長径)30mm×ML方向内枠(短径)18mm)を配置したhead plate_02を作製した。これにより、最大AP-9~AP5、ML8(14mm×16mm)の範囲を観察可能となると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

知覚意思決定課題の訓練は、頭蓋骨に設置したフレームによる頭部固定下で行った。訓練と並行して、全脳イメージングのため、脳のより広い範囲を観察できるように、頭部固定用フレームサイズの変更を行い、head plate_02を作製した。
神経細胞特異的にカルシウムセンサー蛋白GCaMP6fを発現するトランスジェニックラット(LE-Tg(Thy1-GCaMP6f)7 系統)を用いて、head plate_02を頭蓋骨に設置する一次手術を施した。知覚意思決定課題訓練は行わず、頭部固定に慣れた段階で、まず頭蓋骨を介したGCaMP6fのシグナル検出を試みた。ラットの頭蓋骨はマウスよりも厚く、頭蓋骨を介してのイメージングは困難であった。そのため、二次手術として、血管が透けて見える程度に頭蓋骨を可能な限り薄く削る、あるいは頭蓋骨と硬膜を除去することを試みた。いずれもまず5mm四方程度に観察窓を作製した。観察窓には生理食塩水を満たしてサランラップを張り、その上から観察した。頭部固定下、生体脳で観察されたシグナルについて、特異的な神経活動の特定には至っていない。また、おそらく体の動きに伴う脳の移動によると思われる強い非特異的シグナルが認められた。また、観察部位には10日ほどで残った骨の再生と思われる白濁が生じていた。

今後の研究の推進方策

フレーム設置手術後、頭部固定下での訓練には数カ月を要するが、その間に感染による頭蓋骨の変性(軟化)が進行してしまい、イメージングの障害となる。この対応策としては、抗生物質を投与する、生理食塩水でこまめに洗うことの他に、頭蓋骨へのフレーム設置手術前に(頭部非固定下で)訓練を行い、訓練終了後にフレームの設置手術をし、感染が進行する前にイメージングを迅速に行うことを考えている。
頭部固定下イメージング時の非特異的シグナルについての対応策としては、自家蛍光の検出により、カルシウム濃度変化特異的シグナルを特定することを検討している。

次年度使用額が生じた理由

16チャネル電極の購入、サーマルサイクラーの購入に至らなかったため、次年度使用額が生じた。次年度使用計画として、16チャネル電極300,000円およびサーマルサイクラー700,000円を含め、動物飼育関連として飼料、床敷き、微生物検査、PCR試薬などに300,000円、訓練関連として手術関連消耗品、訓練部品などに300,000円、解析用PCなどに300,000円を予定している。

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公開日: 2024-12-25  

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