研究課題/領域番号 |
23K06798
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
吉田 さちね 東邦大学, 医学部, 講師 (90513458)
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研究分担者 |
船戸 弘正 東邦大学, 医学部, 教授 (90363118)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 乳幼児 / 体性感覚 / マウス / ストレス / 発達 |
研究実績の概要 |
幼若哺乳類は、哺乳や保温を必要とし、親など養育個体との密な触れ合いを伴う世話がなければ生存できない。ヒトはもちろん、サルやラット、マウスでの多くの研究より、親との触れ合いの質や頻度の違いが幼若哺乳類の心身発達に長期的に作用することが報告されてきた。そのため幼若哺乳類の発達では、親と触れ合うこと自体が重要とされている。しかし触れ合いが重要とされる直接根拠は乏しく、意外なことに親との触れ合いで子に起こる即時変化の検証は、ヒトでもモデル動物でもほとんどない。そこで本研究では「親との触れ合いは子のストレスを緩和するのか?」という学術的な問いを立て、ヒト幼児および遺伝子操作が可能な仔マウスを用いて検証する。様々な親子の触れ合いパターンのうち「撫でる」動作に着目し、子の脳活動、心拍応答、ストレスホルモン変化を検討する。本研究目的は、触れ合いで子に生じる反応を定量評価し、これまで実体把握が難しかった“子どものストレスの制御メカニズム”の一端を解明することである。初年度は、必要な器機類の購入および幼児や仔マウスを撫でる方策の決定を行った。試行錯誤を経て、基本的なプロトコールを確定し、脳波、心拍、ストレスホルモンなどの変化について順調にデータを取得している。得られた成果について学会発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究に参加する幼児のリクルートや実験動物のマウスの飼育管理など、スムーズに実行できている。既に所有している軽量・小型のセンサ類を使用する研究プロジェクトであるため、装置類のセットアップにも支障はなかった。引き続き研究を推進する。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト幼児でも仔マウスでも撫でることで生じる体性感覚刺激によって、特徴的な生理変化が起こることが見出された。幼児では親へのアンケート調査や心拍変動解析を中心に進め、仔マウスでは神経メカニズムの一端解明を目指して、制御に関わる脳領域の探索や遺伝子発現を操作した個体での実験を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ整理を依頼する研究補助アルバイトの選定と雇用に遅れが生じたため、次年度使用額が生じた。現在は、研究補助アルバイト1名の雇用がスタートしており、今回発生した次年度使用額も含めた人件費を支出する計画である。
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