今後の研究の推進方策 |
疼痛研究において、マクロファージが神経に影響を及ぼし痛みを惹起することは示されているが、あくまで慢性期の痛みや炎症時の痛みであり、また、亜種(サブタイプ)に分類せずにマクロファージ全体での観察に留まっていた。近年のイメージング技術の進展により、末梢免疫細胞の中でも様々なサブタイプの存在が明らかになり、各々が異なる振る舞いを示す不均一性が示されている。特に神経と相互作用する細胞は皮膚真皮層の神経密着型マクロファージは神経再生を促進することが報告されている。本研究では、より詳細に細胞種とサブタイプを限定して検証する。我々のこれまでの検討を踏まえ、末梢神経近傍の皮膚免疫細胞(マクロファージ、樹状細胞)が正常時の無害な機械刺激から病態時の疼痛行動に及ぶまで痛覚を包括的に制御していることを以下の方法で検証する。 神経線維に密着する細胞に発現が亢進する報告のあるMHCクラスII, Cx3cr1, CD72, CD44-positive細胞とnegative細胞を生理的環境下のマウス皮膚真皮層からFACSで回収し、疼痛惹起に重要な液性因子(NGF, ATP, ヒスタミン, ブラジキニン等)の発現をPCR mini-arrayで比較する。感覚不全の原因候補遺伝子として着目しているSNX25についても両群(神経密着型とそれ以外の細胞群)で比較する。SNX25の発現は神経密着型と非密着型マクロファージにおいて遺伝子レベルで異ならない可能性もある。その場合はタンパク質レベルで異なるか、さらには神経密着型マクロファージのマーカーを変更して検証する。
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