研究課題/領域番号 |
23K06810
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
作石 かおり 帝京大学, 医学部, 教授 (70722685)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 多発性硬化症 / B細胞除去療法 / 濾胞性ヘルパーT細胞 / 免疫寛容 / 遺伝子発現解析 / チェックポイント分子 |
研究実績の概要 |
代表的な中枢神経の自己免疫性疾患である多発性硬化(MS)は疾患修飾薬 (DMT) の出現によって臨床的に捉えることができる再燃がなくなり、長期に渡って寛解を維持することが可能となりつつある。しかし、どのような状態で治癒したと言えるかについては不明な部分が多く、いつまでDMTを続けるべきか、明確な指標はなく、診療継続していく上で重大な問題となりつつある。MSの発症機序についての研究は動物モデルの解析を中心に進んでおり、T細胞の免疫寛容の破綻によって引き起こされると考えられている。一方、近年、DMTとしてB細胞除去療法が寛解維持に有効であることが示されている。本研究では、MSのT細胞における中枢神経に対する免疫寛容の破綻がB細胞除去によって修復されているかについての知見を得ることを目的としてB細胞の活性化を促す濾胞性ヘルパーT細胞(Tfh)の機能変化に着目し、検討を進めている。B細胞除去に伴うTfhの免疫機能の変化を明らかにするためTfhを末梢血から回収し、RNAseqによる遺伝子発現解析を行っている。B細胞除去療法導入前後でのTfhの遺伝子発現の変化から、B細胞に対する活性化を促す機能を含めて、CD4陽性T細胞としてのヘルパー機能がどのように変化しているか解析を行っていく。その一環としてT細胞の機能抑制に関与するチェックポイント分子の変化について各種神経筋免疫疾患における免疫寛容の破綻との関連をも検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
B細胞除去療法導入前のMS患者の末梢血よりTfhの回収を進めている。事前検討で再燃時と寛解期でTfhの遺伝子発現に変化があることが明らかになった。このため寛解期に入り安定している患者に限定してB細胞除去療法導入前後での検体採取を行う方針で進めており、予想よりもサンプル収集に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
今後も初発で急性期治療により安定しているか、他のDMTで安定しておりB細胞除去療法へDMTを変更した患者において、導入後のTfhの回収を進める。各患者においてB細胞導入前後のペア検体でTfhの遺伝子発現の比較解析を行い、チェックポイント分子や免疫寛容にかかわる分子の発現変化を明らかにする。併せてCD4陽性細胞やCD8陽性T細胞より抽出したmRNAを用いてTCRのレパトア解析を行い、TCRクロナリティーの多様性の拡大の有無を確認し、免疫寛容が回復している可能性の有無を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外で開催された国際学会の旅費が当初の予想をはるかに上回ったため、年度末に不払いとなるのを回避する目的で前年度後半に前倒し請求を行った。しかし、予定していた年度後半の施設使用料の請求が遅れて今年度払いになってしまっており、年度末の支出額が予定を下回ったため次年度使用額が生じた。結果的に支出額はこの年の支払い請求額をわずかに上回ったのみであり、次年度は当初の使用計画通り進める方針である。
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