研究課題/領域番号 |
23K06820
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山本 将大 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (50825693)
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研究分担者 |
吉田 智美 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 研究所・脂質生命科学研究部, 研究員 (30610216)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | リピドミクス / アラキドン酸 / 疼痛 |
研究実績の概要 |
慢性的な炎症や神経系組織の損傷によって病態形成される難治性の慢性疼痛は,麻薬性鎮痛薬モルヒネでさえも奏効せず,患者の”生活の質”の低下,および,世界経済にも損失を与えている。申請者は近年,難治性疼痛モデルマウスを用いてリピドミクスを実施し,本病態時には感覚神経系を構成する各組織や細胞における“脂質の質”が劇的に変化することを見出した。 本研究では,感覚神経系における“脂質の質”の変化が難治性疼痛発症へ繋がるメカニズムの解明を目標とする。LPCAT3欠損マウスやω6系脂肪酸欠乏餌で飼育したマウスの解析を突破口に,本研究課題の目標達成を狙う。 本年度は,ω6脂肪酸欠乏餌による事前飼育により,神経損傷後の疼痛発症に予防効果が認められるか否かを検証した。その結果,4週間の事前飼育によって後根神経節中のアラキドン酸含有リン脂質が減少し,神経損傷によって生じるアロディニアが有意に軽減することを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ω6脂肪酸欠乏餌で飼育することで,神経損傷後の疼痛を抑制できることを明らかにしたため。
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今後の研究の推進方策 |
ω6脂肪酸欠乏餌を用いて,一度発症したアロディニアに対して治療効果が認められるか否かを検証する。また,新規に作製したLPCAT3欠損マウスを用いて,アラキドン酸含有リン脂質の増加が疼痛発症につながるメカニズムの解明を目指す。
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