研究課題/領域番号 |
23K06833
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
市原 理司 順天堂大学, 医学部, 准教授 (40599247)
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研究分担者 |
林 礼人 順天堂大学, 医学部, 客員教授 (10365645)
山本 康弘 順天堂大学, 医学部, 助教 (40972732)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 女性ホルモン / 手根管症候群 / 神経保護 / 遺伝子改変マウス / 人工神経 |
研究実績の概要 |
今年度は2つの実験モデルの作成を行いモデルの確立を主目的に研究を行った。 神経被覆モデルの作成:遺伝子改変型マウス(Thy1-YFP16)を用いて坐骨神経を顕微鏡下に露出させた後に、メスで鋭利切断し神経の連続性を失わせた後に、顕微鏡下で10-0ナイロン3針にて神経上膜縫合を行った。今後は神経被覆材として新規コラーゲン製神経被覆材を用いて損傷部の神経保護を行うことで、軸索発芽の抑制効果および疼痛改善効果が得られるかを検証していく予定である。 卵巣摘出モデルの確立:胎生6週の雌性ラットで卵巣摘出群(OVX群)と無処置群(Sham群)に分け実験を行った。各々の群に処置直後よりイソフラボンフリー食を給餌した。坐骨神経に絞扼処置を2週間施行した後、 絞扼を解除し、 解除後3、7、14日時点での評価を行った。 検討項目として1) Von Frey filament testにおける損傷肢の疼痛逃避反応、 2)絞扼部位における組織形態学的評価、 免疫染色による神経再生評価を行った。組織形態学的評価において、OVX群がSham群に対して絞扼部遠位での神経変性の程度が強い傾向があり、Von Frey filament testではOVX群がSham群に比較して絞扼解除後の回復が遷延する印象であった。 また、Sham群ではOVX群に比較して神経損傷部におけるマクロファージの遺伝子発現が強い傾向にあった。免疫染色による評価でも同様に、OVX群に比較して、Sham群で神経再生が劣っていることが示された。本年の研究でOVX群では神経損傷部の修復を阻害することが示された。閉経によるエストロゲンの低下が慢性神経絞扼損傷による絞扼解除後の回復に影響を及ぼす可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は2つの実験モデルの作成を行いモデルの確立を主目的に研究を行った。 神経被覆モデルの作成として遺伝子改変型マウス(Thy1-YFP16)を鋭利切断した後に顕微鏡下で10-0ナイロン3針にて神経上膜縫合を行うモデルを確立した。また、卵巣摘出モデルとして胎生6週の雌性ラットで卵巣摘出群(OVX群)と無処置群(Sham群)に分け実験を行い坐骨神経に絞扼処置を2週間施行した後、絞扼を解除し、解除後3、7、14日時点での評価を行った。 既に組織形態学的評価において、OVX群がSham群に対して絞扼部遠位での神経変性の程度が強い傾向があり、Von Frey filament testではOVX群がSham群に比較して絞扼解除後の回復が遷延する印象であった。また、Sham群ではOVX群に比較して神経損傷部におけるマクロファージの遺伝子発現が強い傾向にあった。免疫染色による評価でも同様に、OVX群に比較して、Sham群で神経再生が劣っていることが示された。本年の研究でOVX群では神経損傷部の修復を阻害することが示された。閉経によるエストロゲンの低下が慢性神経絞扼損傷による絞扼解除後の回復に影響を及ぼす可能性が示唆されており研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は2つの実験モデルの作成を行いモデルの確立を行った。 神経被覆モデルの作成が完了したため、今後は神経被覆材として新規コラーゲン製神経被覆材を用いて損傷部の神経保護を行うことで、軸索発芽の抑制効果および疼痛改善効果が得られるかを検証していく予定である。また卵巣摘出モデルを確立し組織形態学的評価において、OVX群がSham群に対して絞扼部遠位での神経変性の程度が強い傾向にあり、Von Frey filament testではOVX群がSham群に比較して絞扼解除後の回復が遷延する印象であった。また、 Sham群ではOVX群に比較して神経損傷部におけるマクロファージの遺伝子発現が強い傾向にあった。免疫染色による評価でも同様に、OVX群に比較して、Sham群で神経再生が劣っていると示された。本年の研究でOVX群では神経損傷部の修復を阻害することが示された。閉経によるエストロゲンの低下が慢性神経絞扼損傷による絞扼解除後の回復に影響を及ぼす可能性が示唆された。今後は損傷部近傍での遺伝子解析を行い神経成長因子としてどの因子が影響しているかを網羅的に解析していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入を予定した研究器機が資材の不足などで納入が間に合わないため、次年度以降での購入を検討することとなったため。
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