研究課題/領域番号 |
23K06848
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
瀧澤 淳 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (70463990)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | CLL / CLLRSG-01 / IGHV変異 / TP53欠失 |
研究実績の概要 |
わが国で希少疾患である慢性リンパ性白血病(CLL)の実態を明らかにするために、国内47施設で実施した前方視的登録研究(CLLRSG-01)の最終解析を行い、日本人CLL 119例の特徴を明らかにした。他国と同様の自然乾燥塗抹標本による形態診断の結果、FAB分類によるTypical CLL 90例とAtypical CLL 29例に分類されたが、Atypical CLLの頻度は24%であり欧米と同等であることが明らかになった。通説とされていた日本人CLLに形態的なAtypical CLLが多いという概念は、日本特有の強制乾燥塗抹標本を用いた形態観察の結果、細胞が大きい状態で固定されていたものを観察していたためであることが示唆された。次に、Typical CLLとAtypical CLLの特徴を比較したが、Atypical CLLでMatutesスコアが低く、CD13発現例が多いという免疫表現形を除いて、臨床像やdel(17p)/TP53欠失などの染色体/遺伝子異常に有意な違いは認められなかった。近年CLLの病態や治療研究に際して、形態的なTypival CLLとAtypical CLLを分けて議論されることが少なくなっているが、それが妥当であることも確認できた。日本人CLL患者全体の特徴として、予後良好とされるIGHV遺伝子変異例が80%と白人患者に比べて高頻度であることが明らかになった。また、使用されるIGHV遺伝子の種類は、他の東洋諸国と同様でIGHV1の頻度が低く、選択される遺伝子のパターンが欧米と異なることが確認された。以上についてIJH誌に論文発表した。 CLLRSG-01登録の中でBinet Stage Aの早期CLL58例について初回治療開始までの期間(TTFT)に関わる予後因子を解析し、血清可溶性IL-2R 1000U/mL以上とLD正常値超えが予後不良因子となることを明らかにして、国際学会(第20回iwCLL2023)で発表した。 現在まで当科で診断したCLL 30例について、臨床的特徴、一般検査データ、表面形質、染色体異常、FISH解析結果などについて確認し、データベースを作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当科症例の蓄積が予想より少し不足しており、さらに情報収集や追加検査に時間を要しており、全体の予後解析に進めていない。
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今後の研究の推進方策 |
当科経験症例の情報を集積してCLLRSG-01登録症例の治療例とデータを統合し、生存解析と予後因子解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験の一部実施が遅れたため、消耗品の購入ができなかった。次年度に試薬など消耗品に使用する。
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