研究課題/領域番号 |
23K06895
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
神田 享勉 金沢医科大学, 医学部, 名誉教授 (40261838)
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研究分担者 |
坂本 卓弥 金沢医科大学, 総合医学研究所, 助教 (40850623)
吉冨 泰央 金沢医科大学, 医学部, 講師 (80399039)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 認知症 / 孤立化 / 海馬 |
研究実績の概要 |
人間同士の接触が著しく制限されている中で、認知症リスクの高い高齢者や基礎疾患を有する患者の認知機能の急激な悪化が懸念されている。近年、社会的孤立が認知症の発症と悪化に関係することが示されている。 そこで、認知症モデルマウスを用いて、隔壁孤立や社会孤立によって認知機能が悪化するかを解析する。生後2ヶ月のオス認知症マウスモデルBALB/c. KOR/Stm Slc Apoeshl mice (Japan SLC, Inc., Shizuoka, Japan)を用いた。1群あたり8匹で3群の24匹を3か月後と6ヶ月後に認知機能検査を実施し、海馬でも遺伝子解析を行う予定となっている。実験群としては、1;社会孤立飼育群、2;共同飼育群、3;隔壁孤立飼育群である。行動解析として認知機能はnovel object recognition testとMorri’s water mazeで、不安行動機能としてopen field testを行った。 3か月目において、open field testでは3群とも、あまり活発な動きを見せず、縁の端を動いていた。社会孤立飼育群でやや不安行動が強い傾向であった。novel object recognition testでは、新規オブジェクトを認識する行為が社会孤立飼育群でやや低下していた。3群での差は大きくなかった。 6か月目では、open field testにおいて、他の2群に比較し社会孤立飼育群はやはり不安行動が多かった。隔壁孤立飼育群では、殆ど行動が低下していた。novel object recognition testでは、新規オブジェクトを認識する行為は社会孤立飼育群と隔壁孤立飼育群で低下していたが、共同飼育群では、認知機能低下が改善傾向を示した。 結果として、隔壁孤立飼育や社会孤立飼育では、共同飼育に比較して、認知機能低下の進行を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
飼育室の関係で飼育マウスの匹数の制限が、かかっており、1群当たりぎりぎりで開始した。また、途中でマウスが水漏れのため死亡して、匹数の減少を起こしていた。 良かったのは、実験施設の提供において、生理学教室が協力的であったため、進行している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度当初から実験室申請で使用許可が数か月下りず、時間が経過してしまった。 次に今年度に行った実験で、マウスが想定外に途中死亡があり、十分な実験効果が得られなかった。更に、実験3か月経過時にモデルとしての認知機能障害が明らかではなかったので、その時点でのト殺による遺伝子検索をあきらめ、6か月目に実施することになった。2年目にあたる2024年4月以降で遺伝子検索を実施する予定である。更に、マウスの匹数を増やして、再実験を行うことも予定している。 現在までの結果として、隔壁群のマウスには認知機能や新規性に軽度の低下があり、障害をきたす可能性を示している。3群間の違いを明らかにしたい。 海馬における遺伝子解析を行う予定とする。特に記憶や認知機能に特異的なBDNFを中心に解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度では、3群での実験を、少数のマウスで行った。更に遺伝子解析が今年度に実施できなかったので、支出が少なくなり、未使用額が生じた。次年度は、十分な数のマウスを使用して、実験を行う予定としたい。解析は、行動実験で、認知機能や新規性の違いを、隔壁や孤立でどう変化するかを行う。更に、脳のマクロとミクロ、更に海馬での遺伝子発現の違いを解析する予定である。よって、遺伝子解析費用は次年度に回すつもりである。
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