研究課題/領域番号 |
23K06898
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研究機関 | 神戸薬科大学 |
研究代表者 |
大山 浩之 神戸薬科大学, 薬学部, 准教授 (80572966)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | シトクロムP450 / 非競合型ELISA / ファージ提示 / バイオマーカー / 人工酵素 |
研究実績の概要 |
生体内でごく微量存在するバイオマーカーの多くは低分子化合物であり、その微量定量には免疫測定法が用いられる。免疫測定法は競合型と非競合型に大別される。イムノクロマト法に代表される非競合型のサンドイッチ法は、2種類の抗体を用いることで感度や特異性に優れ、簡便で他検体の同時処理が可能なため様々な分野で利用される。しかし、低分子化合物は、分子サイズが小さく本法への適応が原理的に困難であり、競合型での測定に依存しており、感度に限界がある。そこで、薬物代謝酵素であるシトクロムP450(CYP)に着目し、低分子化合物-プロトポルフィリンIX(PP9)複合体を認識する変異型CYPを創製し、低分子化合物の定量が可能な新規な非競合型ELISA法の開発を試みている。 本年度は、PP9をマイクロプレートに間接的に固定化するために用いる2種の化合物としてPP9-BSA結合体およびビオチン標識PP9を合成した。また、人工CYPをスクリーニングする際に利用するファージ提示の条件検討を行い、CYPのファージ提示系を確立した。得られたPP9-BSA結合体を直接またはビオチン標識PP9をアビジンを介してマイクロプレートに固相化したのち、野生型CYP3A4またはCYPBM3提示ファージを用いて上述のELISAへの適応を試みた。標的としてプロゲステロン、ベラパミル塩酸、p-ニトロフェノールを基質として加えた場合、用量依存的なシグナルの増大が認められ、これら低分子化合物の非競合型ELISAを構築した。しかし、想定したとおり野生型CYPを用いた場合、実用的な感度や特異性が不十分であり、CYPの基質結合部位へ変異を導入することで機能改変を目指していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題で確立する人工CYPを用いた新規な非競合型ELISAの成立に不可欠なPP9-BSAおよびビオチン標識PP9の合成に早期に成功した。また、野生型CYPのタンパク質発現条件やCYPのファージ提示法を確立したことで、ライブラリーから人工CYPのスクリーニングが可能な準備も整っている。さらにファージ提示したCYPを用いた非競合型ELISAのモデル系の確立にも成功しており、次年度以降でアッセイ系の高感度化の段階に進める見通しである。
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今後の研究の推進方策 |
変異を導入した人工CYPの創製に取り組み、非競合型ELISAの感度や特異性の向上を図る。具体的には標的としているCYP3A4やCYPBM3の基質結合部位にランダム変異を施し、ファージ提示法を利用したスクリーニングを実施する。得られた変異体のアミノ酸置換を解析し、標的化合物とのドッキングシミュレーションなどにより基質結合能を向上させる。機能改変した人工CYPについて発光タンパク質などとの融合タンパク質を調製し、ELISAの高感度化を目指す予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は申請者が所属する研究室体制が大きく変化し、新たな研究室の立ち上げや研究環境を構築するための時間が必要であり、研究の着手に遅延が生じた。また、本研究課題は、これまでの研究とは異なるテーマであり、遂行に必要な遺伝子の調達や試薬、消耗品などを手に入れることにも時間を消費し、予定していた補助金の使用に差異が生じた。本年度は概ね順調に研究が進捗しており、次年度に予定している発光または蛍光検出を利用するファージのスクリーニングを行うことになる。高感度なスクリーニングには高価な蛍光や発光基質が大量に必要となることから、翌年度分と合わせた補助金の消費になることが見込まれる。
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