研究課題/領域番号 |
23K06907
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
樋口 由美子 信州大学, 医学部, 講師(特定雇用) (40757241)
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研究分担者 |
奥村 伸生 信州大学, 医学部, 特任教授 (60252110)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | シトルリン化フィブリノゲン / 好中球 / 炎症 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、シトルリン化フィブリノゲン(Cit-Fbg)の炎症病態における好中球エフェクター機能への影響を検証することである。 初年度は、recombinant Fbg(rFbg)をPeptidylarginine deiminase(PAD)を用いてシトルリン化したシトルリン化recombinant Fbg(Cit-rFbg)を作製した。その後、Cit-rFbgまたは対照となるrFbg存在下における、好中球接着能、貪食能、サイトカイン産生能の測定系確立に着手した。使用するrFbgまたはCit-rFbg濃度について基礎検討を開始したところ、当初考えていたよりも高濃度で使用する必要性が生じた。そこで、使用するFbgをrecombinantから市販のヒト精製Fbgに変更し、Cit-Fbgを作製して実験を継続した。 本年度の成果のひとつとして、純度及び濃度の高いCit-Fbg作製方法が確立できたことがあげられる。好中球接着能の検討では、FbgまたはCit-Fbgの固相化濃度、反応時間、好中球を接着させた後の洗浄方法、評価方法等を検討し、FbgとCit-Fbgの間に濃度依存的に一定の傾向が得られるようになった。好中球貪食能に関しても、FbgまたはCit-Fbg添加濃度及び蛍光ビーズ添加濃度、好中球との反応時間などの基礎検討を行い、安定した測定結果が得られるようになった。引き続きN数を増やして検討する。好中球サイトカイン産生能に関しては、Fbgの固相化濃度、好中球培養時間、上清回収方法等を検討し、一定の傾向を確認したが、引き続きN数を増やしての検討が必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、rFbg、及びCit-rFbgを使用することで実験を進めていたが、想定していたよりも高濃度のものを使用して好中球エフェクター機能を解析する必要が生じた。そのため、高濃度の市販Fbgを購入して、Cit-Fbgを作製した。さらに、その後の実験結果により、シトルリン化過程における不純物の混入が明らかとなり、その問題を解決するのに時間を要した。しかし、純度の高い高濃度のCit-Fbgを作製することができ、測定系の確立がおおむね終了したため、やや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に実施した実験系の再現性を確認するとともに、N数を増やして統計学的にFbgとCit-Fbgの好中球エフェクター機能を比較する。さらに、FbgとCit-Fbg環境下における好中球インテグリン発現量、遊走能、脱顆粒、細胞死抑制機能などについて、順次測定系の確立及び解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
メーカーキャンペーンを利用して、予定より安価に物品を購入することができたため。次年度使用額は、2024年度請求分と合わせて物品費として使用する。
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