研究課題/領域番号 |
23K06941
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
西嶌 春生 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (90858177)
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研究分担者 |
冨山 誠彦 弘前大学, 医学研究科, 教授 (40311542)
森 文秋 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (60200383)
古川 智範 弘前大学, 医学研究科, 助教 (60402369)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | L-ドパ誘発ジスキネジア / 樹状突起上スパイン / 神経可塑性 |
研究実績の概要 |
神経細胞の樹状突起上スパインの可塑的な形態変化は記憶や学習に深く関わっている。加齢による認知機能の低下の背景に、この可塑性の変化があるのではないかという仮説の元、実験を遂行した。若年成体(10週齢)の雄のウィスターラットを用い、6-hydroxydopamineを右脳の内側前脳束に注入し右脳のドパミン脱神経を行った片側パーキンソン病モデルラットを作成した。L-ドパ(6mg/kg)またはプラセボによる治療を18週齢時から2週間行い、若年発症+若年治療モデルとした。2週の間に3回、L-ドパ投与で誘発される異常不随意運動(ヒトにおけるL-ドパ誘発ジスキネジアに相当)を観察し、Abnormal Involuntary Movement score(AIMスコア)で評価した。投与10日目に逆行性蛍光トレーサーのFast Blueをステレオ手術で黒質網様部に注入し、線条体-黒質網様部投射ニューロン、すなわち直接路を構成する線条体神経細胞の細胞体を標識した。14日目の最終薬物投与から12時間後に脳を摘出し線条体を通る冠状断の脳切片を作成した。固定した切片を用いてチロシンヒドロキシラーゼに対する免疫染色を行い片側の完全なドパミン脱神経を確認した。ドレブリンに対する免疫染色を行って免疫反応陽性のドット状構造物(個々の樹状突起上スパインを反映している)を観察し、これらがL-ドパ投与群のドパミン脱神経側で拡大していることを確認した。さらに半固定状態の切片を用いFast Blueで標識された個々の細胞体にパッチクランプ法を応用した方法で蛍光色素Lucifer Yellowを注入して共焦点顕微鏡で観察し、樹状突起上スパインの数の減少、頭部の肥大を確認した。さらに10週齢時にドパミン脱神経手術を行い96週齢まで飼養してから治療を行った群(若年発症+高齢治療モデル)、88週齢時に手術を行いで96週齢から治療を行った群(高齢発症+高齢治療モデル)を作成し、同様の解析を進めつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
高齢ラットにおいて、片側ドパミン脱神経手術の成功率、モデルラットに対する逆行性トレーサー注入手術の成功率がいずれも想定より低く、予定した数のモデルを作成できていない。統計学的な解析を行うためにはさらに数を増やす必要があり、モデルラット作成計画を立て直しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
モデルラットの作成計画を立て直し、若年発症+高齢治療モデル、高齢発症+高齢治療モデルの数を確保し、実験を推進する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
手術の成功率が想定より低く想定していた数のモデルラットが作成できなかったため、モデルラットを用いた実験のための費用が想定よりも少なくなった。 次年度にラットや薬品類を購入し、追加のモデルラット作成手術を行う予定である。
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