研究課題
我々はMOG抗体関連疾患(MOGAD)の病理学的特徴には、血管周囲性脱髄を特徴とすること等の多発性硬化症MSとは異なる特徴を有すると明らかにしてきた。また視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)との類似性があるが、しかしMOG抗体は主に免疫グロブリンのサブクラスであるIgG1であることから補体活性化があると考えられているが、補体活性による脱髄機序については、病理学的検討においては補体自体の沈着がNMOSDと比較して限定的であることから、病態が異なると考えている。国際的な競合する多施設からはMOGADでも補体が関わることが示唆される研究成果も上がっている。本研究においては、MOGADとNMOSDにおける補体活性の差を検証し、MOGADでは髄液中補体活性がNMOSDに比して低いことを示すとともに、病理学的な再検証においてもMOGADはNMOSDに比して補体活性であるC9neoの沈着が限定的であることを明らかにした。近年MSの中核的病態と考えられる異所性リンパ濾胞構造がMOGADでも大きな役割を担い、中枢神経内で持続的にMOG抗体が産生され得る可能性が明らかとなっており、本研究においてもMOGADでは、中枢神経内MOG抗体産生が従来考えられているより高頻度に認められることを明らかにし、特に皮質性脳炎においては髄液中のみでMOG抗体が検出される割合が高く、診断的にも髄液中MOG抗体を検出することが有意義であり、一方でMOGADにおける視神経炎においては、血清MOG抗体を測定することで十分であることを報告した。
2: おおむね順調に進展している
本研究において、本研究においてMOG抗体関連疾患(MOGAD)における脳内産生機構について明らかにし昨年学会誌に報告するとともに、研究会に於いて報告を行っている。また、現在前向き研究にて、継続的にMOGAD患者におけるMOG抗体産生状態とその進行病態についての検討を行っており、順調に症例が蓄積しており、今後対象症例における縦断的な解析を行って、MOG抗体の免疫病態を明らかにしていきたいと考えている。また病理学的に補体が関与する病態を免疫組織学的に検証を行い、これについても研究を秋の関連学会にて報告することとなっている。また、MOGADの免疫病態において現在最も中止されている髄液中の活性化補体C5b-9の関与について、視神経脊髄炎スぺクトラム障害(NMOSD)との比較検討を行った結果を明らかにし、現在投稿中である。このように研究は順調に遂行されており、おおむね順調に進展していると考えている。
前向き研究にて、継続的にMOGAD患者におけるMOG抗体産生状態とその進行病態についての検討を行っており、今後も順調に症例が蓄積していくことが見込まれている。国際診断基準を元に対象症例における縦断的な解析を行っていく方針であり、また国際的なコンソーシアムなどに参加して、より国際的な検証を行い、MOG抗体の免疫病態を明らかにしていきたいと考えている。また病理学的に補体が関与する病態を免疫組織学的に検証を行い、これについても研究を秋の関連学会にて報告することとなっている。また、MOGADの免疫病態において現在最も中止されている髄液中の活性化補体C5b-9の関与について、視神経脊髄炎スぺクトラム障害(NMOSD)との比較検討を行った結果を明らかにし投稿中である。
研究が当初予定したよりも順調に進んでいることや他の研究費での遂行が可能であったこと、また海外出張などを想定していたものが予定通りに行うことが出来ずに予算が余ったことが影響している。今年度は海外での研究成果の発表を盛り込んでいること、前向き研究においてさらに研究費が必要であることから、そちらの研究予算として盛り込んでおり、今後はより予定通りの使用が見込まれる。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件)
Brain
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