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2023 年度 実施状況報告書

TREM2作動性抗体による異常TDP-43蛋白の細胞間伝播および神経変性の抑制効果の検討

研究課題

研究課題/領域番号 23K06970
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

二瓶 義廣  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (60468501)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードTREM2 / HEK細胞 / ミクログリア / ADAM10/17
研究実績の概要

まず、抗体療法による TREM2 活性化のモデルとして、切断抵抗性 TREM2 人工変異安定発現 HEK 細胞の作成を行い、ヒトとマウス両者の変異細胞株の樹立に成功した (Cleavage Resistant: CR 変異)。CR 変異は、ADAM10/17 による切断部位近傍のアミノ酸配列を置換したものであり、野生型と比較して ADAM10/17 による細胞外ドメインの切断産物 (sTREM2) の減少、膜上全長型/成熟型 TREM2 の発現量亢進をウェスタンブロット、フローサイトメトリーなどのアッセイにより確認した。更にこの CR 変異は、TREM2 刺激による Syk シグナリングの活性化 (リン酸化 Syk の発現上昇を ELISA で確認) とファゴサイトーシスの亢進 (E.coli particle を用いたアッセイにより確認) を示し、この切断抵抗性 TREM2 が機能的であることを示した。以上の結果から TREM2 およびミクログリアを超活性化状態にするこの変異は、TREM2 作動性抗体を用いた治療のモデルとなると考えられた。
次に、リコンビナント TDP-43 蛋白の貪食能の確認を試みた。カバースリップ上で培養した empty vector、野生型、CR 変異安定発現 HEK 細胞の培養液中に、リコンビナント His-TDP-43 蛋白 (LSbio) を希釈して投与し、24 時間後に細胞を固定して、免疫染色を行った。統計学的有意差は出ていないが、CR 変異ではわずかに細胞内リコンビナント His-TDP-43 蛋白陽性率が高い傾向が認められた。今後は条件や抗体の選択を行ってアッセイ系の確立を行い、再度貪食能を評価する予定である。更に、ウェスタンブロットやフローサイトメトリーなどを用いて、貪食能を評価する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

TREM2切断阻害抗体による実験の前段階での実験であるが、TREM2切断抵抗性変異は細胞膜上全長型/成熟型 TREM2 の発現量亢進を示し、E.coli bioparticle の貪食能は亢進しており、この変異がTREM2およびミクログリア活性化状態のモデルとなりえることが確認できた。本研究においてTDP-43蛋白の貪食能への影響を評価するためのアッセイ系の確立が必要であるが、現段階では確立できていない。His-TDP-43蛋白の濃度や染色で用いる抗体など条件の変更およびウェスタンブロットやフローサイトメトリーなど別のアッセイでの評価法の検討も必要と考えている。

今後の研究の推進方策

リコンビナントTDP-43の取り込み評価アッセイの確立を目指す。アッセイ系確立後、CR 変異安定発現HEK細胞、ヒトiPS細胞由来ミクログリア、TREM2切断阻害抗体を投与した野生型マウスiPS細胞由来ミクログリアのTDP-43取り込み能を評価する予定である。

次年度使用額が生じた理由

1万円未満の残額で、試薬を購入するには低額であり、2024年度の研究費と併せて物品費に使用する予定である。

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公開日: 2024-12-25  

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