研究実績の概要 |
近年、新型コロナウイルスの流行に伴う作業オンライン化の加速、スマートフォンなどの情報通信機器の発展により、過剰なゲーム行動が精神的身体的不調を引き起こし、大きな社会問題となっている。このような背景により、新しい疾患概念であるゲーム障害(GD)の認知度は高まりつつあるが、治療に難渋するケースが多い。その要因の一つとして、ゲーム障害では、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如多動症(ADHD)をはじめとした発達障害との合併が多いものの、同症例群の病態が十分にわかっていないことがあげられる。 本年度は、被験者への説明文書、同意書、必要書類の準備、作成などを行い、GD単独群、GD+ASD群、GD+ADHD群および健常群のリクルート体制を構築した。また、先行研究に関する文献検索、関連学会に参加することで情報収集し、同疾患群の病態理解を深めるために適切な行動課題、表情評価課題や質問紙を作成した。その上で、多職種から構成される研究チームで議論を重ね、課題の洗練を行なった。加えて、複数のモダリティーのMRI撮像(構造MRI、課題fMRI、安静時fMRIなど)におけるパラメータを選定した。さらに、パイロット実験を行い、行動パラメータの定量化、表情解析値(happy, sad, angry, surprised, scared, disgusted, neutral)の算出を検証した。
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