研究課題
ミスマッチ陰性電位 (mismatch negativity、以下MMN)は、機能的意義(感覚記憶を基盤とした多様な音変化の無意識的検出)と主発生源(上側頭回)や基盤にある神経系(NMDA受容体機能を反映)が明らかにされている稀な認知反応である。精神医学的重要性は、統合失調症に生じる上側頭回の進行性の体積減少に先行してMMN異常が出現することにあるが、中でも音の持続長変化(150ms以下)に対するMMN(以下、dMMN)だけが統合失調症に対して高感受性を有し、近年、dMMN異常が発症危険状態(ARMS)からの統合失調症発症を高率に予測することが確認された。しかし、このdMMN異常の高い統合失調症感受性のメカニズムは解明されていない。本研究では、統合失調症に対するdMMN異常の高感受性が時間統合機能(TWI)異常に由来するかを調査しているが、本年度は、関連事象の科学論文公表、統合失調症検出に適したdMMNの計測法の確立、各施設でのデータ収集を続けている。
2: おおむね順調に進展している
前述したように、本年度は、関連の科学論文投稿・公表、統合失調症検出に適したdMMNの計測法の確立に向けた作業、各施設でのデータ収集を続けている。
統合失調症発症群、ARMS群、健常者群でdMMN、Omission-MMN(TWI-MMN)の計測、データ収集を続けて、統合失調症における刺激後半部での異常を検証していく。2023年度:リクルートと計測・分析を行い、データを収集する。2024、2025年度:研究全体を総括し一部は計測を続けるが、並行して論文を作成・公表する。
データ収集は予定通り行っているが、購入予定であった経年劣化している電極キャップなども古いもので代用できたので、次年度以降に購入する予定である。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件) 学会発表 (2件)
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