研究課題/領域番号 |
23K06990
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
山田 俊児 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40454079)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | neuropeptide Y / c-Fos / 側坐核 |
研究実績の概要 |
ストレスは不安障害やうつ病を含む「こころの病気」の原因の一つである。様々な種類の「こころの病気」に対し、より効率的な処方を行うために、新しい治療法の確立が必要である。申請者は、側坐核に存在するNeuropeptide Y(NPY)発現ニューロンが抗不安作用を有することを明らかにした。 ストレスを緩和する行動の一つとして、palatable foodの摂食亢進がある。側坐核へのNPY作用はpalatable foodの摂食に関与することという報告があることから、当該年度では側坐核もしくは側坐核に投射するニューロンがpalatable foodの摂食に関与するのかを、マウスにとって嗜好性の高い高脂肪食 (HFD) 摂食を指標に調べた。その結果、神経核Xから側坐核に投射するNPYニューロンをオプトジェネティクスで活性化するとHFD摂食が増加し、不活性化するとHFD摂食が減少することが明らかとなった。一方、側坐核のNPYニューロンの不活性化でもHFD摂食は減少するが、活性化はHFD摂食に影響しなかった。 本研究課題のテーマである「ストレスに反応するニューロン」の可視化を行うために、拘束ストレスや社会的敗北ストレス、さらにはストレス緩和刺激としてHFD負荷刺激に対して活性化する神経細胞の局在をc-fos発現を指標にして調べた。HFD負荷刺激により側坐核、扁桃体、視床下部でc-Fos発現細胞の増加が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Tet-offシステムを利用して「ストレスに反応するニューロン」の可視化や操作を行うために、cFos-tTAマウスの購入を考えていたが、マウスの購入費用の高騰を鑑みてアデノ随伴ウイルスを用いた実験に切り替えた。ウイルスを投与する部位を限局するために各ストレス刺激に対して、神経細胞の活性化マーカーであるc-Fos発現が変化する部位の同定から始めた。そのため研究の進捗が少し遅れたが、部位は同定しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
ストレスやHFD刺激で活性化するニューロンにのみtet-offシステムを利用してチャネルロドプシンを発現させ、光刺激によりそれらのニューロンを活性化した時の行動変化を調べる。次にこれらのニューロンにGCaMP6を発現させ、ファイバーフォトメトリーによりストレスに反応するニューロンの神経活動を自由行動下で測定する。これらの実験の組み合わせにより、神経細胞の活性化がストレス行動やストレス回避行動を引き起こすのか、その逆なのかを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウスの購入を考えていたが、値段の高騰により断念し、少し安価なウイルス作成実験に移行したため。次年度使用額分は対応したウイルスを作成するためのプラスミドやウイルス作成用試薬の購入費に使用する予定である。
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