研究課題/領域番号 |
23K06992
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
石田 卓也 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (10549728)
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研究分担者 |
喜多 彬 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (20735914)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | rTMS / うつ病 / rsfMRI / DCM |
研究実績の概要 |
和歌山県立医科大学でリクルートした健常者50人、うつ病患者42人とともに、国内多施設公開データのdecnefデータを合わせて健常者177人、うつ病患者120人のrsfMRIデータを用いて、rTMSの刺激箇所である左DLPFCをseedとした機能的結合(FC)マップを作成し、2群間での差を検討した。その結果、視覚野(VIS)と視床(Thal)においてうつ病群で異常なFCを呈していることが明らかになった。さらに、左背外側前頭前野(DLPFC)と機能的に繋がっているうつ病関連ネットワーク上にある左DLPFC,VIS,Thal,前帯状回膝下部(sgACC),側坐核(NAC),扁桃体(AMY),島(A I),腹内側前頭前野(VMPFC)間の因果関係を考慮に入れた因果性結合を比較したところ、うつ病では左DLPFCからV I Sまた、皮質下領域からVISへの因果性結合、さらに、A IからAMY、NAC、VMPFCへの因果性結合が健常者と比較して異常な関係にあることがわかった。さらにNACからVIS,AIからVMPFCへの因果性結合は抑うつ尺度ども相関した。これらの異常がうつ病の病態機序に関連しているとともに、rTMS療法による左DLPFCへの刺激はVISやThalへ波及して、それがさらにsgACC、AI、NACなどへ波及して抗うつ効果をもたらす可能性を示唆することを示した。さらに、和歌山県立医科大学精神科で集めた健常者50人、統合失調症患者36人、うつ病患者42人のrsfMRI画像を用いて、energy-landscape解析という方法を用いて、精神疾患横断的に脳の活動ダイナミクス異常を認め、その度合いは統合失調症>うつ病>健常者であることがわかり、Neuroimage Clinicalに出版された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記で記載した研究結果から、rTMS治療前後で比較すべき関心領域としては、左DLPFC, AMY,NAC,Thal,AI,sgACC,VIS,VMPFCに決定することができた。 しかし、現時点ではrTMS治療を行ううつ病患者を研究にリクルートしているが、治療前後で撮像するfMRI画像に関しては脱落者が多く、治療前後で撮像できたものは、この1年間で実質数名程度しかおらず、rTMS治療前後のうつ病患者の脳内変化を直接みるためのサンプル数が研究計画に比べて、遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後はrTMS治療前後においてrsfMRIを測定するうつ病患者のリクルートの速度を上げる必要がある。その上で、上記で決定したROI間における因果性結合変化を解析して、rTMS治療におけるうつ病患者の治療反応性を予測するバイオマーカーの探索を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
患者リクルートが遅れていることが要因の一つである。次年度以降、患者のリクルートを急ぐとともに、初年度に購入予定の解析用のコンピュータを2年目に購入して使用する予定である。
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