研究課題
千葉大学医学部附属病院認知行動療法センターにて年間20-30名程度の強迫症の方をリクルートし、認知行動療法を実施している。過去に認知行動療法センター及び千葉大学子どものこころの発達教育研究センターで認知行動療法を実施した強迫症の方も合わせ、実施前のMRI画像データを用いた治療反応性に関する研究を進めている。安静時fMRIから得られる安静時脳機能結合について、データドリブンであるMulti-Voxel Pattern Analysisを用いて全脳的解析を行い、後頭皮質を中心とした機能的結合性の変化が指摘された。拡散テンソル画像についても、確率的なトラクトグラフィー手法であるTRACULA(TRActs Constrained by UnderLying Anatomyを)を用いて、主要な神経線維束の描出を行った。後方視力的に強迫症の認知行動療法の治療反応性と、治療前の安静時脳機能結合の特徴についてポスター発表(第15回日本不安症学会学術大会、第23回日本認知療法・認知行動療法学会)を行った。さらに、治療前の脳画像的所見について、機能的(安静時fMRIから得られる機能的結合性)及び構造的(拡散テンソル画像から得られる白質線維の微小構造)な評価を組み合わせ、ポスター発表(2023年ヨーロッパ認知行動療法学会総会)並びに口演(第19回Chiba Neuroresearch meeting)を行った。
2: おおむね順調に進展している
対象患者40名が目標で、治療前の画像については過去分を含めて30数名のデータが得られているが、治療後(1年後)についてはその半数程度の状況である。
認知行動療法施行前の安静時fMRIと拡散テンソル画像から得られた所見については、治療反応性並びに臨床的所見と関連付け、論文化を目指す。引き続き対象の患者さんリクルートを進めるほか、治療後のMRI撮像についてもご協力いただけるよう努めていく。
2023年度は脳画像解析に必要な物品については、以前の研究費等から購入したものを継続的に使用したが、今後さらなる負荷のかかる解析が必要になるため、パソコンやその他周辺機器の購入が必要になる(おおよそ50万円)。また、研究成果を公表するため、論文執筆にかかる費用(英文校正や投稿料)、海外を含めた学会出張費用(おおよそ50万円)が見込まれる。その他、脳画像や認知行動療法など研究に関係する研修会の参加、参考図書購入なども予定している。
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