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2023 年度 実施状況報告書

3つの集団ベースおよびモデル動物を利用した認知症の一酸化窒素系に注目した解析研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K07016
研究機関愛媛大学

研究代表者

上野 修一  愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (80232768)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード一酸化窒素 / アラニン:グリオキシル酸アミノ基転移酵素2 / メチルアルギニン / うつ病 / CES-D
研究実績の概要

一酸化窒素(NO)は、血管を拡張する他、神経伝達物質としても機能する重要な気体である。NO合成酵素は、アルギニンを基質としてNOを合成するが、生体内メチルアルギニンにより競合阻害される。アラニン:グリオキシル酸アミノ基転移酵素2(AGXT2)は、脳、肝臓、腎臓で発現している酵素で、メチルアルギニンを分解する。AGXT2には酵素活性を欠損させる機能性多型があり、生体内のメチルアルギニン量を決定している。我々は、日本人において約30%がAGXT2酵素活性を欠損していることから、認知症を含めた疾患との関連の可能性を検討し、すでに糖尿病や高血圧との関連を報告している。今回、愛媛コーホートに参加している健常者群2,314名を対象として認知症前駆段階のうつ症状に対しての研究を行った。うつ病尺度CES-D(Center for epidemiologic Studies Depression Scale)を用いて、うつ状態と診断した280名と健常と判定した2034名のAGXT2の4つの機能性多型(rs37370, rs37369, rs180749, rs16899974)の関連を解析した。その結果、rs180749のみ有意にうつ症状と関連し、GGアレルを持つものに比較してGAもしくはAAアレルを持つもので有意にうつ症状を起こすこと、ハーディ・ワインベルグ平衡を満たすrs37370, rs180749, rs16899974の3つのハプロタイプ解析でもAGXT2遺伝子とうつ状態が関係することが明らかになった。これらのアレルやハプロタイプ解析から、AGXT2遺伝子が、うつ症状に関係している可能性が考えられた。今後は、AGXT2多型がどのようにうつ症状に関わっているかについて、培養細胞や酵素活性を欠損したノックアウトマウスを用いて解析を進めることを予定している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

集団ベースを用いて、遺伝子多型と精神症状について関連を調べ、報告した。当初予定したヒトでの解析は順調に進んでいると考えられているため。

今後の研究の推進方策

ヒトでの解析については、例数を増やし、解析する心理検査についても、うつ病では他の尺度、また、うつ病以外の尺度も予定しており、また、糖尿病や高血圧、高脂血症など身体的なデータについても引き続き解析を予定している。また、AGXT2遺伝子の機能性多型の酵素活性の低下に至るメカニズムについて、培養細胞や動物モデルを用いて解析する予定である。

次年度使用額が生じた理由

研究計画は予定通りに進行しているが、年度末に購入を予定していたものを次年度に購入することになったため、若干の余裕ができた。業務の進行には問題ないと考えている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Functional AGXT2 SNP rs180749 variant and depressive symptoms: Baseline data from the Aidai Cohort Study in Japan.2024

    • 著者名/発表者名
      Kumon H, Miyake Y, Yoshino Y, Iga JI, Tanaka K, Senba H, Kimura E, Higaki T, Matsuura B, Kawamoto R, Ueno S
    • 雑誌名

      J Neural Transm (Vienna)

      巻: 131 ページ: 267-274

    • DOI

      10.1007/s00702-024-02742-w

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2024-12-25  

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